走っているのに体重が動かない。がんばっているぶんだけ、焦りや不安が出てきますよね。
先に結論を書きます。僕の場合、走り方が悪かったわけではないようです。運動量が、研究の目安に照らすと「目に見えて体重が動く水準」に届いていなかったのだと考えています。
僕は1978年生まれの47歳です。2022年4月に66.8kg(身長164cm)からダイエットを始め、1年5ヶ月で12kg減らしました。その後リバウンドし、いまは再挑戦中の一般人で、健康や栄養の資格は持っていません。書けるのは、自分の記録と、調べた研究の話だけです。
この記事では「体重が動かない期間をどう読むか」を扱います。1ヶ月に何kg減らすのが現実的かというペースの目安は、40代からの減量ペースの目安にまとめてあります。
読み終わるころには、動かない体重計の数字を「失敗の証拠」ではなく「今の量とやり方が出している結果」として落ち着いて見られるようになるはずです。

ジョギング週1回10km、走っても体重は減らなかった
本格的にダイエットを始める前、2021年から2022年の初めにかけて、僕は走っていました。そのあいだ、体重は減りませんでした。
当時やっていた運動は、ジョギングだけでした。頻度は週1回、日曜の朝だけ。1回に10kmを1時間ほどのペースで走っていました。週に換算すると約60分です。
平日は走らず、食事の管理もしていませんでした。それでも「走れば減る」と思っていました。
ところが数字は減りません。朝の体重を月の平均で見ると、2021年1月の60.8kgが、2022年3月には64.4kgになっていました。減るどころか、少しずつ増えていたのです。そのときの気持ちは、正直に言えば焦りと不安でした。走る回数は重ねているのに、返ってくる数字は減らない。何が悪いのかも分かりませんでした。
同じ状態にいる人に最初に伝えたいのは、これは意志の弱さの話ではない、ということです。僕の場合は「がんばりが足りない」のではなく、やっている量と、体重が動く量がかみ合っていなかったのだと考えています。次の章で、その中身を数字で見ていきます。
研究の目安と並べたら、僕の週60分は少なかった

自分の週60分という運動量を研究の目安と並べたとき、ようやく腑に落ちました。体重が動くには、量が届いていなかったようです。
医学誌JAMA Network Openに2024年に掲載された、有酸素運動と減量に関するメタ解析(複数の研究をまとめて分析したもの)があります。116件のランダム化比較試験、6,880人・平均年齢46歳分のデータをまとめたものです。この報告では、週の運動量が30分増えるごとに体重が平均0.52kg減るという関係が示されました。減り幅は週150分で平均2.79kg、週300分で平均4.19kgと、週300分あたりまでほぼ直線的に大きくなっていました。著者らは「臨床的に意味のある減少には、中強度以上で週150分を超える有酸素運動が必要かもしれない」と述べています。
この関係をそのまま僕の週60分に当てはめると、平均像としては1kg前後です。ただしこの研究の対象はBMI25以上(アジア系は23以上)の過体重・肥満の成人で、走っていた当時の僕はBMI約22.3〜24.0(身長164cm、2021年1月〜2022年3月の月平均の体重で計算)で、アジア系の基準の境目あたりでした。基準に完全には当てはまらないので、この数字が僕にそのまま当てはまるとは限りません。
有酸素運動「だけ」を行った試験を集めた別の報告(Thorogood 2011)も似た方向を示しています。14件のランダム化比較試験をまとめたもので、試験で使われた運動量は週120〜240分。それでも体重の変化は6ヶ月で平均1.6kg減、12ヶ月で平均1.7kg減にとどまっていました。僕の2〜4倍の量でも、体重計の上での変化はこの程度だったということです。
そして1kgや1.6kgという幅は、日々の体重の揺れに簡単に埋もれます。体重は食事量や水分の出入りで1日のうちにも動きます(この仕組みは「ダイエット中の水分と体重」の記事に詳しく書きました)。つまり運動の効果が仮に出ていても、体重計の数字だけを見ていた僕には、それを見分ける手立てがなかったわけです。
「走っても減らない」と感じるとき、それは「効果がゼロ」ではなく「変化が小さくて見えない」だけのこともあるのだと、いまは考えています。
走っても痩せないとき、自分がどれに当てはまるか
ジョギングやランニングを続けても数字が動かないと、40代以降では「代謝が落ちたせいでは」と考えたくなります。ただ、年齢は自分では変えられません。先に、数えられるもの(週の運動時間と食べている量)から切り分けると、次の一手が決めやすくなります。よくある4つを挙げます。
- 運動量が足りていない……まず「週に何分動いているか」を数えてみてください。週1回30分なら月に約2時間です。感覚ではなく分で数えると、思っていた量との差が見えます。
- 食べる量が変わっていない……運動を始めると食欲が増えることがあります。走った後に「今日は動いたから」と食べた分で、消費した分が埋まっているかもしれません。記録があると確かめられます。
- 期間が短い・測り方がそろっていない……1〜2週間では判断できません。測るのは1日1回、同じ時間(朝起きてトイレの後など)にそろえます。1日ごとの数字ではなく1週間の平均で見ると、揺れに振り回されずにすみます。
- 筋トレを始めた直後で増えている……筋トレを再開すると、最初のうち体重が増えることがあります。僕自身、再開直後の1ヶ月で体重が約1kg増えました。この時期の増減の読み方は「筋トレを始めたら体重が増えた」の記事にまとめています。
どれか1つに決めつける必要はありません。僕の場合、1つ目は週60分と数字で確かめられました。2つ目は、当時は食事を管理していなかったので確かめようがありません。
なお、原因の心当たりがないのに急に体重が変わる、強い倦怠感が続くといったときは、自己判断せず医療機関に相談してください。運動や食事の話に当てはめて様子を見るより、その方が安全です。
僕がやめたこと、始めたこと

その後、2022年4月から本格的にダイエットを始めました。ジョギングはやめて、主食を抜く食事と週6回の筋トレ、仕事帰りのインターバル速歩に切り替えています(ジョギングをやめた時期や、それぞれを始めた時期は、はっきり覚えていません)。主食を抜くのは僕が当時選んだやり方で、おすすめではありません。治療中の方や薬を飲んでいる方は、食事を大きく変える前に医師に相談してください。その筋トレを何から始めて、どう続けているかは40代からの筋トレの始め方と続け方にまとめました。
走る量を週150分以上に増やしていく道もあったはずですが、僕はそちらを選びませんでした。
走る以外の道を選ぶなら、インターバル速歩・HIIT・1日の歩数を研究の数字で比べたジョギング以外の有酸素運動の選び方も参考にしてください。
その後、2022年4月からの1年5ヶ月で、体重は66.8kgから54.9kgまで減りました。食事の記録をつけ始めたのは、痩せたあとのことです。記録のつけ方は「カロリー管理の始め方」に4ステップでまとめています。いまは自作のPFC管理アプリに記録を残しています。
方向としては、研究の傾向とも大きくはずれていないようです。運動だけの取り組みと、食事+運動を組み合わせた取り組みを直接比べたレビュー(Johns 2014、8件・1,022人)があります。3〜6ヶ月の時点で食事+運動の方が平均5.33kg大きく減り、12〜18ヶ月の時点でも平均6.29kg大きいという結果でした。運動を足すことより、食事を組み合わせることの寄与が大きかった形です。
ここで誤解してほしくないのは、有酸素運動をやめるべきだ、という話ではないことです。これは僕が選んだ組み合わせにすぎません。走る時間を確保できる人が量を増やしていく道もありますし、順番の考え方は「筋トレと有酸素はどっちが先か」の記事にも書きました。効果の出方には個人差があり、持病のある方は運動の内容を変える前に医師に相談してください。
それでも、走った時間は無駄じゃなかった
体重は減りませんでしたが、走っていたあの時期を無駄だったとは思っていません。走っている最中はきつかったのですが、走り終わるとリフレッシュできて、気持ちよかったからです。数字には出なくても、その感覚はちゃんと残りました。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、成人に「息が弾み汗をかく程度以上(3メッツ以上の強度)の運動を週60分以上」行うことをすすめています。あわせて、筋力トレーニングを週2〜3日行うこともすすめています。週1回10kmを走っていた当時の僕は、体重こそ減らなかったものの、この運動の推奨は満たしていたことになります。
先ほどのJAMA Network Openの解析でも、報告されていたのは体重だけではありません。腹囲(おなかまわり)や体脂肪の指標、生活の質(QOL)の改善もあわせて示されていました。有酸素運動だけを調べたThorogood 2011でも、体重の変化は小さい一方で、腹囲や血圧の改善が報告されています。
有酸素運動と筋トレのどちらがお腹まわりの脂肪に効きやすいのか、研究の結果を比べた話は、ぽっこりお腹の減らし方の記事にまとめています。
体重計の数字は、運動の成績表の一部でしかありません。 そう考えられるようになってから、僕は数字が止まった時期にも落ち着いていられるようになりました。
まとめ
- 僕は週1回10km(週約60分)を走っていた時期(2021年〜2022年の初め)、体重が減らず、むしろ増えていました。焦りと不安がありました
- 研究の目安(JAMA Network Open 2024)に照らすと、週60分は平均像で1kg前後。日々の体重の揺れに埋もれる大きさです
- まず「週に何分動いているか」を数え、食べる量・測り方・筋トレ開始直後かどうかを切り分けてみてください
- 僕は走る量を増やす代わりに、主食を抜く食事と筋トレ、インターバル速歩に切り替えました。これは僕の選択で、正解が1つという話ではありません
- 体重は減らなくても、走り終わったあとの気持ちよさは残りました。体重計の数字は、運動の成績表の一部でしかありません
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。今日できることは、先週の自分が何分動いたかを思い出して、紙かスマホに書き出すことだけです。そこから次の一手が決まります。
※この記事は、運営者個人の体験と一般的に知られている情報をもとにまとめたものです。効果や感じ方には個人差があり、特定の効果を保証するものではありません。持病のある方・体調に不安のある方は、実践の前に医師などの専門家にご相談ください。詳しくは免責事項をご覧ください。
参考にした情報
- Aerobic Exercise and Weight Loss in Adults: A Systematic Review and Dose-Response Meta-Analysis(JAMA Network Open, 2024)
- Isolated aerobic exercise and weight loss(Thorogood 2011・NCBI 構造化抄録)
- Diet or exercise interventions vs combined behavioral weight management programs(Johns 2014)
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」





