
食事の記録をやめてから、甘いものが止まらなくなっていませんか。記録していたころは平気だったのに、やめたとたん、お菓子が毎日の当たり前になる。体重が増えているのは分かっているのに、手が止まらない。この記事は、そういう方に向けて書いています。
先に結論を書きます。記録は、食べる前のブレーキになります。でも、記録を続けるには、食べる物を固定して記録を楽にするのが、僕には効きました。
書いているのは、栄養や運動の資格を持たない、一般の47歳です。僕は43歳のとき、66.8kgから1年5か月で54.9kgまで、11.9kg減らしました。そのあと約2年は60kg前後で過ごし、その後半の約1年6か月は、食事管理アプリ(あすけん)で毎食を記録していました。2025年10月にアプリのプランが終わってから約9か月、食事の記録はゼロ。その間に、甘いものとスナック菓子はほぼ毎日になり、体重は約3か月で6.3kg増えました。2026年7月に再挑戦を始め、8月25日からは毎日記録しています。
この記事では、記録していた頃・崩れた順番・戻れたきっかけ・いまの4つを、研究と並べて書きます。読み終えると、記録の何が効いていたのか、再開するなら週に何日・どこまでやれば足りるのか、続けるために何を変えればいいのかの目安がつかめます。
記録が「面倒で続かない」ことへの対処は、カロリー計算がめんどくさいときの4つの選択肢をまとめた記事に書きました。この記事は、記録が持っていた「食べる前のブレーキ」と、やめたあとに起きることに絞ります。
結論:食べる前のブレーキ
先に、この記事の答えを3つ書きます。
- 食事の記録には、①食べた量が見える働きと、②「これを記録に残したくない」と、食べる前に手が止まる働きの2つがある
- 僕の場合、記録をやめると②のブレーキから先に消えた。記録ゼロの約9か月で、甘いもの・スナック菓子がほぼ毎日になり、体重は2025年10月1日の61.5kgから、2026年1月4日に67.8kgになった
- 再開して続けるには、食べる物を固定して記録を楽にするのが、僕には効いた。研究では、減量後の維持期に週3〜4日記録していた人は、体重が横ばいだった(関連を見た研究・平均50.7歳)
1つ、この記事で書かないと決めていることがあります。「記録すれば痩せる」とは書きません。食事と運動の助言に記録を足しても、12か月の減量は上乗せされなかった、という試験があるからです(「よくある質問」で紹介します)。記録は痩せる道具ではなく、食べる前に立ち止まる道具、というのがこの記事の立場です。
読む方の状況によって、最初の一手が変わります。
- 記録をやめて間食が増えた人:週3日からの再開と、甘いものを食べる前に入れる方法を「ケース別」の章に
- 前に細かく記録して燃え尽きた人:詳しさより頻度、という見方を同じ章に
- 記録が罪悪感やストレスになる人:無理に再開しない選択肢と、専門家に相談する目安を同じ章に
- 体重は毎日測っているから大丈夫、と思っている人:体重の記録と食事の記録は働きが違う、という話を「崩れた順番」の章に
食べる前に入れていたころ
あすけんで記録していたのは、痩せたあとの2024年4月から2025年9月までの約1年6か月です。この時期、僕は甘いものやスナック菓子をほとんど食べていませんでした。会社でお土産をもらったときに食べるくらいです。
間食も、必ず食べる前に入力した
当時の記録のしかたは、毎食、食べる前にキッチンスケールで量って、アプリに入れるところまで済ませる、というものでした。間食も同じで、必ず食べる前に入力していました。
だから、お菓子を食べるなら、食べる前にそれを記録に入れることになります。当時のことを、僕はこう振り返っています。
「誰に見られるわけでもないのですが、自分が見て、ダイエットしているのにこんなものを食べて恥ずかしいという思いは常にあったので、記録したくないから、食べませんでした」
食べたあとに「食べすぎた」と気づくのではなく、入れる前に手が止まる。記録の働きの1つは、ここにありました。
棚の前で食品表示を見て、戻した
ブレーキは、家の中だけで働いていたわけではありません。スーパーやコンビニの棚の前で、食品表示のカロリーや糖質を見て、棚に戻したこともあります。
記録に残るのが恥ずかしいので、そもそも買わなかった、ということです。記録は、食べる場面より前の、選ぶ場面から効いていました。
焼き芋とクルミで代用していた
もう1つ、お菓子を食べずに済んだ理由があります。代わりに食べるものが決まっていたことです。
記録していた期間の途中までは、焼き芋1本とクルミ5〜6粒を毎日食べていました。甘いものが食べたくなったら焼き芋、スナック菓子が食べたくなったらクルミ、という置き換えです。お菓子については、こうでした。
「甘いものは、焼き芋で代用していたので、お菓子への執着はなかったです」
食べたいものを我慢していたのではなく、別のものに置き換えていただけです。焼き芋とクルミに置き換えるときの量の目安と注意は、別の記事にまとめています。
だから「記録していたころは意志が強かった」わけではありません。記録が食べる前に効いていて、代わりに食べるものが決まっていた。この2つがそろっていただけです。
研究でも、記録中は食べる量が変わる
記録をつけている間は、食べる量が変わる。これを実測で示した研究があります。
Gorisらの2000年の研究は、肥満の男性30人に1週間の食事記録をつけてもらい、実際に使ったエネルギーを「二重標識水法」という方法で測って、記録と比べたものです。記録をつけた週、参加者の体重は平均1.0kg減っていて、記録していない週と比べて、はっきりした差がありました。記録された量は、実際に使ったエネルギーより平均37%少なく、その内訳は、普段より食べる量を控えていた分(食べ控え)が約26%、食べたのに書かなかった分(書き漏らし)が約12%と推定されています。
Whittonらの2023年の研究では、BMI25〜40の18〜65歳の155人に、4日間、写真で食事を記録してもらいました。記録された量は、記録の日を重ねるごとに、平均で1日あたり3%ずつ減っていました。減り方がいちばん大きかった3分の1の人たち(52人)では、真ん中の値で1日あたり17%です。そして、10kgを超える減量をした経験のある人は、この「減り方が大きい側」に入りやすかったと報告されています(なりやすさを比べた「オッズ比」で3.4)。僕も11.9kg減らした経験があり、記録中はお菓子を控えていました。同じ向きの話です。
ただし、ここで測っているのは「記録された量」です。食べる量が減ったのか、書かなくなっただけなのかは、混ざっています。Kirkpatrickらの2012年の研究(食品のチェックリストを使った2つの調査)でも、日を追うごとに報告が減る傾向は小さく、それが「書き方の変化」なのか「食べ方の変化」なのかは、どちらの可能性もあると書かれています。
「恥ずかしさがブレーキになる」は、僕の実感であって、研究で確かめられたものではありません。研究が示しているのは「記録している間は、食べる量や記録される量が変わる」までで、恥ずかしさが理由かどうかは調べられていません。Burkeらの2011年の系統的レビュー(複数の研究をまとめて評価した論文)も、記録と減量の関連は一貫して見られるものの、証拠の質は弱いとしています。
崩れた順番は筋トレから
記録をやめたあと、ブレーキは先に消えました。ただ、崩れたのは記録だけではありません。順番に並べると、こうなります。
先に崩れたのは、筋トレと疲れ
1. 2025年の夏ごろ、ケガで筋トレを休みがちになった
2. 疲れて朝起きられなくなり、筋トレを完全にやめた(僕が考える、いちばんの原因)
3. その後、甘いものが増えていった
同じ頃、2025年10月1日に、あすけんのプランの期間が終わりました。ちょうどサブスクを整理していたこともあり、更新しませんでした。
2025年ごろ、疲れが出てきたころから、記録は嫌になっていました。始めたときの目的は「足りない物を知り、多すぎる物を減らす」ことだったのに、毎食きっちり量って入れること自体が義務になっていたからです。更新しなかったときは、「量る面倒から解放される」という気持ちが大きかったです。そのあと、メモも別のアプリも使わず、食事の記録は完全にゼロになりました。
この頃の夜は、0時を過ぎてから眠る晩も増えていました。スマートウォッチの記録では、0時を過ぎた晩の割合は、それ以前の約6割から、リバウンドしていた時期(2025年10月〜2026年6月)には74%に増えていました。疲れた日に何が残って何が消えたかは、疲れてダイエットが続かないときに僕が残した1つの習慣の話に、寝不足と間食の関係は、睡眠不足と太りやすさを研究で確かめた記事に書きました。リバウンド全体の経緯は、12kg痩せたあとにリバウンドした6つの段階にまとめてあります。
疲れていた時期と、記録がなかった時期は重なっています。どちらがどれだけ効いたのかを、僕は分けられません。分かっているのは、僕自身のこの言葉のとおりの順番です。
「食事を記録しているときは、余計な記録を残したくなくて、甘いものを極力控えていた。記録をつけなくなってから、歯止めが効かなくなった」
「1つだけなら」が、ほぼ毎日に
記録をやめて、最初に崩れたのは「ちょっと1つだけなら…」でした。コンビニのおにぎり1個、サンドイッチ1個、夜にアイス1つ。それが、記録ゼロの約9か月のあいだに、こうなっていました。
- 甘いものやスナック菓子:ほぼ毎日(甘いものはコンビニで買い、スナック菓子は家にあった買い置き)
- 砂糖入りのエナジードリンク:1日1本、ほぼ毎日
記録していたころは「お土産をもらったときくらい」だったものが、「ほぼ毎日」です。スナック菓子は、減量期には一度やめていた食べ物でもあります。やめる前といまの回数、全部やめずに減らす順番は、別の記事にまとめました。
約3か月で6.3kg増えた
体重(朝の値)は、こう動きました。
- 2025年10月1日(あすけんのプランが終わった日):61.5kg
- 2026年1月4日:67.8kg(当時の最高体重を更新)
- 2026年7月1日(再挑戦の初日):66.9kg
約3か月で6.3kg増えています。前後も含めて月平均で並べると、こうなります。

正月明けの67.8kgを見たときは、さすがに焦りました。それでも、記録を戻そうとは思いませんでした。記録を戻さなかった理由は、いま振り返ると、こうです。
「もう、気力も無くなっていたのだと思います」
体重は、測り続けていた
ここで正直に書いておきたいのは、体重は測り続けていたことです。朝は必ず、晩も基本は測って、記録することは途切れていません。増えているのは、数字で分かっていました。それでも、食事の側だけが崩れました。
体重の記録についても、研究があります。Butrynらの2007年の研究は、大幅な減量を維持している人の登録(米国のNational Weight Control Registry)から3,003人を調べたものです。1年のあいだに体重を測る頻度が減った人は平均4.0kg増え、頻度が増えた人は1.1kg、変わらなかった人は1.8kgの増加でした。Thomasらの2014年の研究(同じ登録の2,886人・平均48歳・10年間)でも、体重を測る頻度が下がることが、体重の再増加と関連していました。
ただ、僕のケースは少し違いました。体重は測り続けていたのに、戻りました。
だから僕は、こう整理しています。体重の記録は「増えたことに気づく」働き。食事の記録は「食べる前に止める」働き。気づくことと止めることは、別の働きです。体重計に乗るだけでは、お菓子の袋を開ける手は止まりませんでした。
これは僕1人の体験と研究を並べただけで、「体重を測っても意味がない」という話ではありません。ただ、体重を測っているから大丈夫、と思っている方には、僕と同じ穴があるかもしれません。
記録の日が少ない人ほど戻りやすい
記録をやめたあとに何が起きるか。減量したあとの期間(維持期)を追った研究が、いちばん近い答えを持っています。
Arroyoらの2024年の研究は、平均50.7歳の74人を対象に、3か月の減量期のあと、9か月の維持期を追いました。維持期に週何日記録したかと体重の変化を並べると、次のようになっていました。
- 週1〜2日:体重が増えた
- 週3〜4日:体重は横ばい
- 週5〜6日:体重が減った

この研究は、記録した日数と体重の変化の「関連」を見たもので、記録を減らしたから増えた、という因果までは示していません。
Petersonらの2014年の研究(50〜75歳の女性220人・平均59.3歳)では、週3日以上の記録を毎週続けられたかどうかが、減量後に戻る量の差になっていました。Laitnerらの2016年の研究(肥満の女性167人・平均59.9歳)では、最初の6か月は記録の頻度に差がなく、その後の12か月で、うまく維持できた人ほど記録の数が多くなっていました。
対象が女性中心で60歳前後、という限界はあります。それでも「減量のあとに記録を続けていた人ほど戻りにくい」という向きは、複数の研究で一致しています。僕の記録ゼロの約9か月は、この研究で言えば週0日です。
きっかけは食べる物の固定
当時の最高体重を更新し、お腹も出ていたことから、2026年7月に再挑戦を始めました。疲れが限界に近かったのでアルバイトを1つ辞め、朝の筋トレの時間が戻ってきたのも、この月です。
記録の道具は、自分で作りました。AIを使えば自分でもアプリが作れるようになり、解約で記録をやめてしまった反省から、無料で続けられるPFC管理アプリを作ったのです。アプリの中身と作り方は、自作のPFC管理アプリを無料で公開した記事に書いています。
ただ、道具ができても、7月の記録はとびとびでした。理由は、いま思えばこうです。毎日食べる物を固定していなかったので、そのつど調べて入れるのが、少し面倒になっていました。
71.3kgと、食べる物の固定
8月21日の朝、体重計は71.3kgでした。そのときの気持ちは、こうです。
「人生で70キロを超えたことがなかったし、ダイエットブログを書いているのにこれはヤバいと思った」
8月中には、毎日食べる物も固定しました。8月25日(朝69.9kg)からは毎日記録していて、10月22日まで1日も抜けていません。毎日に戻れた決め手は、71.3kgを見たことと、食べる物の固定の2つです。
固定すると、入れるのは昼の分だけ
いまの食事は、朝と夜がほぼ決まっています。
- 朝:プロテインミルク、おからヨーグルト(冷凍ブルーベリー入り)、バナナ1本
- 昼:ご飯なしのお弁当(中身は日によって違うので、そのつど調べて入れる)
- 夜:酢納豆(キムチと豆腐入り)、めかぶ、酢玉ねぎ、冷奴、サラダチキン
昼食以外は、アプリの「よく使う食品」に登録してあります。毎回スケールで量ってはいますが、探して入れる手間はほとんどありません。毎日の入力は、昼の分の1〜2分です。
同じ物を食べている理由を一言で言うと、「記録が楽なので同じものを食べています」。
いまも、食べる前に入れる
いま、2026年10月の僕の記録のしかたと、甘いものとの付き合い方です。
全部量る。でも5〜10gは気にしない
食べる物は、お弁当も含めて、全部キッチンスケールで量っています。ただ、あすけんの頃のように100gきっちりには合わせていません。
「昔ほど厳密に量らず、ちょっと5gか10gオーバーしても気にしなくなりました」
お弁当は、AIに聞くか、分かる物は外装の栄養成分表示を見て入れます。外食や人からもらった物は、AI(ChatGPTやPerplexity)に任せています。AIが出す数字は正確とは限らない点は、知っておいてください。
甘いものも、食べる前に正直に入れる
間食は、いまも必ず食べる前に入力しています。甘いものも同じです。入れるときの恥ずかしさは、昔ほどではありませんが、多少あります。
記録は、甘いものだけでなく、トータルを週に1回見返しています。
回数は減った。ブレーキはまだ不明
記録ゼロの時期といまを並べると、こうなります。
- 甘いものやスナック菓子:ほぼ毎日 → いまはスナック菓子を週1〜2回(家族と一緒に食べる場面で、1袋は食べない)
- 砂糖入りのエナジードリンク:1日1本、ほぼ毎日 → いまは本当にたまに
ファストフードも月1〜2回は食べています。ゼロにしていない理由は、「我慢しすぎもつまらないので」です。
環境のほうでは、いま次のようにしています。
- お菓子は、目につく所ではなく、棚の見えない所にしまってある(家族の分も)
- アルバイトがなく、そのまま家に帰る日は、コンビニの前を通らない帰り道にしている
- お菓子を、自分からは買い物カゴに入れない
では、食べる前のブレーキは戻ったのか。正直に書くと、回数は減りました。でも、それが記録のブレーキが戻ったからなのかは、まだ分かりません。
回数が減った理由として、僕がいちばん大きいと思っているのは、食べる物の固定です。固定したことで記録が楽になり、毎日続いた。その結果として回数が減った、という順番だと考えています。
体重は、8月25日の69.9kgから、10月11日の朝は67.1kgでした。ただ、同じ時期に運動や食事の中身も見直しているので、記録だけの効果とは言えません。そのあと、腰が痛くて運動を休んでいる時期に増え、10月22日の朝は69.0kgでした。ここで「ブレーキが戻りました」と書けたら記事としてはきれいですが、それはまだ確かめられていないので書きません。変化があれば、別の記事で正直に報告します。
読んでくださっているあなたに、1つ聞いてみたいことがあります。記録をやめたあと、最初に崩れたのは何でしたか。僕は「ちょっと1つだけなら」の間食でした。人によって違うはずなので、よければお問い合わせのページから教えてください。
ケース別:再開は週何日?
記録を再開するか、するならどこまでか。答えは読む方の状況で変わるので、3つに分けます。
間食が増えた人:週3日から
毎日でなくて構いません。Arroyoらの研究では、週3〜4日で体重は横ばいでした。まずは週3日、記録する日を決めるところからが、1つの目安です。
そしてもう1つ、僕がいまもやっているのは、甘いものを「食べる前に」入れることです。食べたあとに入れると、ブレーキが働く場所がありません。入れる前のひと呼吸で、袋を戻せる日があるかもしれません。
記録の始め方そのものが分からない方は、カロリー管理の始め方を4ステップにまとめた記事が入口です。
細かい記録に疲れた人:頻度を残す
僕が記録を嫌になったのは、記録することが義務になって、「足りない物を知り、多すぎる物を減らす」という目的から離れてしまったからでした。
グラム単位の正確さに疲れた方は、詳しさを落として、頻度を残してください。僕はいま、5gや10gのずれは気にせずに、毎日つけています。Petersonらの研究でも、体重の差になったのは記録の詳しさではなく、週3日以上の記録を毎週続けられたかどうかでした。
それでもつらいなら、毎日食べる物をいくつか決めて、登録してしまうのも手です。僕の場合は、それで入力が昼の分の1〜2分になりました。面倒の中身を3つに分けて、どれを手放すかを考える方法は、冒頭で紹介した記事にまとめてあります。
記録がつらい人:頻度を落とす
記録が合わない人もいます。ここは正直に書きます。
Goldsteinらの2025年の調査(減量を維持している人の登録者794人)では、過去1年で2.3kg以上体重が戻った人たちのほうが、記録の道具を使うときに罪悪感や不安を感じる人が多かったと報告されています。Simpsonらの2017年の調査(大学生493人)では、カロリー追跡アプリを使っている人は、食事への懸念や食事制限の傾向が高く、著者らは「一部の人には害が益を上回るかもしれない」と述べています。
どちらも、ある時点を切り取った調査なので、因果は分かりません。それでも、記録が全員に合うわけではないことは示しています。
一方で、記録を足しても、食行動への悪影響は見られなかったという試験もあります(Jospeらの2017年)。多くの人にとって、記録は害でも特効薬でもない道具、と考えられます。
記録がつらい方は、頻度を落とすか、いったんやめて構いません。代わりに、甘いものを別のものに置き換えたり、お菓子を目につかない所にしまったりと、環境のほうで対処する道もあります。食べることへの不安が強い、記録すると食べ物のことばかり考えてしまう、摂食障害の経験がある、という方は、無理に続けず、医師や専門家に相談してください。
よくある質問
Q. 固定すると、記録は楽になる?
僕の場合は、楽になりました。朝と夜の食べる物を決めてアプリに登録してから、毎日の入力は昼の分の1〜2分です。Burkeらの2011年のレビューにも、よく食べる食事をソフトに保存しておけば、検索と入力のくり返しを省ける、という記述があります。ただ、記録を続けている人とやめた人を調べたCordeiroらの2015年の研究では、記録を楽にするために同じ物ばかり食べるようになることが、記録の困った作用の1つとして挙げられています。僕は、飽きた物はやめて、ほかの物に替えることがあります。固定するなら、栄養がかたよらないよう、ときどき中身を見直してください。
Q. 記録するだけで痩せる?
言い切れません。Jospeらの2017年の試験(BMI27以上の成人250人・12か月)では、食事と運動の助言に、食事記録などの記録を足しても、減量は上乗せされませんでした。Burkeらの2011年のレビューも、記録と減量の関連は一貫して見られるが、証拠の質は弱い、としています。記録は「痩せる道具」ではなく、「食べる前に立ち止まる道具」と考えるほうが、実際に近いと僕は受け取っています。
Q. 体重だけ測れば十分?
体重を測り続けている人ほど戻りにくい、という研究はあります(Butrynらの2007年、Thomasらの2014年)。ただ、僕は体重を測り続けていても、間食は戻りました。体重の記録は「気づく」働き、食事の記録は「食べる前に止める」働きで、役割が違うと僕は考えています。
Q. 記録は週に何日すれば十分?
Arroyoらの2024年の研究(平均50.7歳)では、週1〜2日で体重が増え、3〜4日で横ばい、5〜6日で減っていました。維持が目的なら、週3日以上が1つの目安で、毎日でなくても構いません。Petersonらの2014年の研究では、その頻度を毎週続けられたかどうかが差になっていました。
Q. 記録すると苦しくなります
無理に続けないでください。記録の道具を使うときの罪悪感や不安が、体重が戻った人に多かった調査(Goldsteinらの2025年)や、カロリー追跡アプリの利用と食事への懸念の関連を報告した調査(Simpsonらの2017年)があります。摂食障害の経験がある方や、食べることへの不安が強い方は、記録が逆効果になることもあると考えられます。記録をやめて環境のほうで対処する道もありますし、つらさが続くときは、医師や専門家に相談してください。
まとめ:ブレーキと固定
- 食事の記録には、食べた量が見える働きと、記録に残したくないから食べる前に手が止まる働きがある。僕は間食も、必ず食べる前に入れていた
- 記録している間は、食べる量や記録される量が変わる(Goris 2000:約26%の食べ控え/Whitton 2023:記録の日ごとに平均3%減)。ただし、Whittonの数字には書かなくなった分も含まれる
- 記録をやめると、僕は「1つだけなら」から崩れ、甘いものやスナック菓子、砂糖入りのエナジードリンクがほぼ毎日になった。体重は約3か月で61.5kgから67.8kgに
- 体重の記録は「気づく」、食事の記録は「止める」。僕は体重を測り続けていても、間食は戻った
- 減量後に週の記録日数が少ないと、体重は戻りやすい(Arroyo 2024・関連を見た研究:週1〜2日で増・3〜4日で横ばい・5〜6日で減)
- 続けるために効いたのは、食べる物の固定。入力は昼の分の1〜2分になり、8月25日から毎日続いている
- 甘いものやスナック菓子の回数は減った。でも、ブレーキが戻ったからかは、まだ分からない
記録をやめた約9か月で、僕の甘いものとスナック菓子はほぼ毎日になりました。いまは回数が減りましたが、ブレーキが戻ったかは、まだ分かりません。それでも、何が効いていたのか、僕なりの見当はつきました。見当がつけば、戻し方は決められます。
読んでくださっている方に、僕から伝えたいのは、これです。
「甘いものは美味しいから、1度食べると止まらなくなりますよね! その日どんな甘いもの食べたのか記録して、1週間に1度でも、1か月に1度でもいいので、見返してみると、何か気づきがあるかもですよ!!」
今日からの一歩は、1つで足ります。甘いものを食べる前に、それだけ記録してみてください。恥ずかしくても、正直に。そこからブレーキが戻るかどうかは、僕も一緒に確かめている途中です。
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。記録をやめて甘いものが止まらなくなったのは、意志が弱いからとは限りません。ブレーキが1つ外れていただけかもしれません。僕も同じところに立っています。同じように体と向き合う一人として、次の1回から一緒に戻していけたらうれしいです。

※この記事は、運営者個人の体験と一般的に知られている情報をもとにまとめたものです。効果や感じ方には個人差があり、特定の効果を保証するものではありません。持病のある方・体調に不安のある方は、実践の前に医師などの専門家にご相談ください。詳しくは免責事項をご覧ください。
参考にした情報
- Goris AH ほか(肥満男性の食事記録における食べ控えと書き漏らしを二重標識水法で調べた研究)American Journal of Clinical Nutrition 71(1):130-134, 2000
- Whitton C ほか(4日間の写真による食事記録で、測定誤差と反応性に関わる要因を調べた研究)British Journal of Nutrition 129(4):725-736, 2023
- Kirkpatrick SI ほか(食品のチェックリストで、記録の日数と反応性の関係を調べた研究)Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics 112(1):110-118, 2012
- Burke LE ほか(減量における自己モニタリングの系統的レビュー)Journal of the American Dietetic Association 111(1):92-102, 2011
- Peterson ND ほか(食事の自己モニタリングと長期の体重管理の成否を調べた研究)Obesity 22(9):1962-1967, 2014
- Arroyo KM ほか(減量維持に必要な食事記録の最低頻度を調べた研究)Obesity, 2024
- Laitner MH ほか(減量維持の成功と自己モニタリングの役割を調べた研究)Eating Behaviors 21:193-197, 2016
- Butryn ML ほか(体重測定の一貫性と体重の再増加の関係を調べたNWCRの研究)Obesity 15(12):3091-3096, 2007
- Thomas JG ほか(NWCR参加者の10年間の体重維持を追った研究)American Journal of Preventive Medicine 46(1):17-23, 2014
- Goldstein CM ほか(体重を維持した人と戻った人で、記録の道具の使い方と受け止め方を比べたNWCRの調査)Journal of Technology in Behavioral Science 10(2):450-460, 2025
- Simpson CC, Mazzeo SE(カロリー計算とフィットネス追跡の技術と、摂食障害の症状との関連を調べた研究)Eating Behaviors 26:89-92, 2017
- Jospe MR ほか(モニタリング方法の違いが減量に与える効果を比べた無作為化比較試験)Obesity 25(9):1490-1498, 2017
- Cordeiro F ほか(食事記録を続けている人とやめた人への調査で、記録の難しさを調べた研究)Proceedings of the SIGCHI Conference on Human Factors in Computing Systems, 2015







