「1日の目標カロリーは分かった。でも、じゃあ何をどれだけ食べればいいの?」。ここでつまずく方は本当に多いです。カロリーという“合計の枠”は決まっても、その中身の配分が分からないと、献立にまで落とせないからです。
結論から言います。目標カロリーが出たら、それを「PFC」という3つの栄養素に分けて、P→F→Cの順番で決めていけばいいのです。①たんぱく質(P)を体重をもとに決める → ②脂質(F)を総カロリーの割合で決める → ③残り全部を炭水化物(C)にする。この順番さえ守れば、迷わずグラムまで出せます。
僕(りきanela)は43歳のとき人生最高体重になり、そこから1年5か月で12kg減量しました。今は47歳。正直に言うと、リバウンドの真っ最中です。うまくいった時期に支えになったのが、まさにこの「PFCで考える」やり方でした。減らすことも戻ることも経験したうえで、今もう一度立て直しに使っているのがこの考え方です。
なお、この記事は消費カロリーの話の続きです。基礎代謝や活動代謝など「使うカロリーの中身」を復習したい方は、前回の記事もあわせてご覧ください。
この記事を読み終える頃には、自分の体重と目標カロリーを当てはめるだけで、「たんぱく質は何g、脂質は何g、炭水化物は何g」と自分で出せるようになります。難しい計算はありません。一緒に順番に見ていきましょう。
PFCバランスとは?たんぱく質・脂質・炭水化物の3つ
まず「PFC」が何かをかみ砕きます。PFCとは、食事から取るエネルギー源になる3つの栄養素の頭文字です。
- P=たんぱく質(Protein/プロテイン)… 肉・魚・卵・大豆などに多い。1g=約4kcal
- F=脂質(Fat/ファット)… 油・バター・肉の脂身・ナッツなどに多い。1g=約9kcal
- C=炭水化物(Carbohydrate/カーボハイドレート)… ご飯・パン・麺・いも類などに多い。1g=約4kcal
この3つの合計が、1日の摂取カロリーになります。逆に言えば、目標カロリーをこの3つにどう振り分けるかを決めれば、食べる量が具体的に見えてくる、ということです。
ここで一つだけ、必ず覚えておいてほしいことがあります。脂質(F)だけ、同じグラム数でもカロリーが倍以上あるという点です。たんぱく質と炭水化物は1g=約4kcalなのに対し、脂質は1g=約9kcal。同じ「10g」でも、脂質は他の2つの倍以上のカロリーになります(出典:消費者庁の栄養成分表示に関する基準、文部科学省の日本食品標準成分表)。
だからこそ、脂質は「量は少なくても、カロリーはしっかり乗る」栄養素です。揚げ物やお菓子で思ったよりカロリーが増えてしまうのは、この脂質の存在が理由の一つです。この性質は、あとで脂質を決めるときに効いてきます。
決める順番はP→F→C。なぜ「たんぱく質」から決めるのか
Q:PFCは何から決めればいいの?
A:たんぱく質(P)から決めます。次に脂質(F)、最後に残り全部を炭水化物(C)にします。
なぜ、たんぱく質を一番先に決めるのか。理由は、40代以上は放っておくと筋肉(正確には除脂肪量=脂肪以外の重さ)が落ちやすく、それを守る土台がたんぱく質だからです。
年齢とともに筋肉量が減っていく状態は「サルコペニア」と呼ばれ、進むと歩く・立つといった日常動作にも影響すると言われています(出典:健康長寿ネット)。前回の記事でお話ししたとおり、筋肉はじっとしていてもカロリーを使う組織なので、筋肉が減ると基礎代謝という“土台”も下がってしまいます。
つまり、たんぱく質を最初にしっかり確保しておくことは、減量中に筋肉をできるだけ守り、痩せにくい体になるのを防ぐための土台づくりなのです。だから、他の栄養素より先に「これだけは確保する」という量を決めてしまいます。
たんぱく質を先に土台として置き、次に体に必要な脂質を確保し、余ったぶんを活動のエネルギー源である炭水化物にあてる。この順番には、ちゃんと意味があります。では、一つずつ決めていきましょう。
①たんぱく質(P)を決める:運動する人は体重1kgあたり1.4〜2.0gが目安
最初はたんぱく質(P)です。運動をしている人の一般的な目安として、体重1kgあたり1.4〜2.0gがよく挙げられます。たとえば体重60kgの人なら、1日およそ84〜120gが目安になります。
ここで、とても大事な区別を正直にお伝えします。この「1.4〜2.0g/kg」という数字は、運動する人を対象にした国際スポーツ栄養学会(ISSN)などが示している目安です。国が国民全体に向けて定めている推奨量(成人男性で1日65g前後、成人女性で50g前後:日本人の食事摂取基準2025年版)とは、別物です。
- 国が定めた推奨量(男性約65g・女性約50g)… 一般の人が健康を保つための最低ラインの目安
- 運動する人向けの目安(体重1kgあたり1.4〜2.0g)… 運動して筋肉を守りたい人向けの、それより多めの目安
減量中に運動もしている方は、後者の多めの目安が参考になります。ただし、これはあくまで運動習慣がある人向けの数字だということは忘れないでください。
そして、もう一つ必ずお伝えしたいことがあります。腎臓の働きに不安がある方、持病のある方、妊娠中の方などは、たんぱく質を増やす前に必ず医師にご相談ください。たんぱく質は多く取ればいいというものではなく、体の状態によっては控えたほうがよい場合もあります。ここは自己判断せず、専門家の意見を優先してください。
計算のときは、決めたグラム数に4をかけると、たんぱく質のカロリーが出ます(1g=約4kcal)。この数字を、あとで使います。
②脂質(F)を決める:総カロリーの20〜30%が目安
次は脂質(F)です。脂質は、1日の総カロリーの20〜30%を目安にするのが一般的です。これは、日本人の食事摂取基準2025年版で、脂質から取るエネルギーの目標量が「総エネルギーの20〜30%」とされていることが根拠です。
計算はこうします。目標カロリーに0.20〜0.30をかけて脂質のカロリーを出し、それを9で割るとグラム数になります(脂質は1g=約9kcal)。たとえば目標が1,800kcalで25%なら、1,800×0.25=450kcal、450÷9=50gが目安です。
ここで注意したいのは、脂質を減らしすぎないことです。「脂質はカロリーが高いから、できるだけ減らせばいい」と思いがちですが、脂質は体のホルモンをつくる材料になったり、食事の満足感を保ったりする、体に欠かせない栄養素です。極端に減らすと、体調をくずしたり、満足感が得られず反動で食べすぎたりすることもあると言われています。
前の章でお話ししたとおり、脂質は1g=約9kcalと、少量でもカロリーが乗ります。だからこそ「気づかず取りすぎる」ことも「減らしすぎる」ことも起きやすい栄養素です。20〜30%という枠の中に、ちょうどよく収めるイメージを持ってください。
③炭水化物(C)を決める:残りぜんぶ
最後は炭水化物(C)です。ここは簡単で、目標カロリーからP(たんぱく質)とF(脂質)のカロリーを引いた「残り全部」を炭水化物にあてます。そのカロリーを4で割れば、グラム数が出ます(炭水化物は1g=約4kcal)。
一つ、言葉の整理をしておきます。炭水化物は、正確には「糖質+食物繊維」の合計です。ただ、食物繊維はカロリー計算上ごくわずかしか影響しないため、この記事では便宜上「糖質」とほぼ同じものとして考えます。計算をシンプルにするための割り切りだと思ってください。
ただし、「食物繊維は無視してよい」という意味ではありません。食物繊維は現代人に不足しがちで、腸の調子を整えたり、食後の血糖の急な上がり方をゆるやかにしたりと、健康に大切な役割があると言われています。カロリー計算上はわずかでも、野菜・海藻・きのこ・豆などから食物繊維をしっかり取ることは、別の意味でとても大切です。ここは覚えておいてください。
実際に計算してみよう(具体例)
では、実際の数字で通してみましょう。ここでは「目標1,800kcal・体重66kg・運動あり」の人を例にします。あくまで一例なので、数字はご自身のものに置き換えてください。
- ①たんぱく質(P)… 66kg × 1.6g = 約106g → 106g × 4kcal = 約424kcal
- ②脂質(F)… 1,800kcal × 25% = 450kcal → 450 ÷ 9 = 約50g
- ③炭水化物(C)… 1,800 −(424 + 450)= 残り926kcal → 926 ÷ 4 = 約230g(糖質換算)
この人の1日の目安は、たんぱく質106g・脂質50g・炭水化物230gとなりました。これで、献立を考える手がかりができます。
ご自身の数字で出すときは、次の空欄に当てはめてみてください。
- ①P … あなたの体重( )kg ×(1.4〜2.0のどれか)g =( )g →( )× 4 =( )kcal
- ②F … あなたの目標( )kcal × 25% =( )kcal →( )÷ 9 =( )g
- ③C … あなたの目標( )kcal −(PのkcalとFのkcalの合計)=( )kcal →( )÷ 4 =( )g
繰り返しになりますが、これらの数字はあくまで目安で、体格や運動量、体調によって適切な量は一人ひとり違います。個人差があることを前提に、まずはざっくりの目安として使ってみてください。きっちり合わせようと気負う必要はありません。
まとめ
ここまでの流れを、全体像として振り返ります。
- 記事2:目標カロリー(アンダーカロリー)を立てる … 食べる量の「合計の枠」を決める
- 記事3:消費カロリーを知る … 自分が1日にどれだけ使っているかを知る
- 今回:PFCに割る … 決まった枠の中身を、P→F→Cの順で具体的なグラムにする
目標カロリーの出し方(アンダーカロリーの立て方)をもう一度確認したい方は、こちらもあわせてどうぞ。
カロリーという“合計の枠”だけでは、献立まで落とし込めません。でも、P→F→Cの順に分けていけば、「今日はたんぱく質が足りないから卵を一つ足そう」といった具体的な調整ができるようになります。数字は目安で構いません。まずは、たんぱく質を土台に確保することから始めてみてください。それが、40代からの無理のない食事づくりの第一歩だと僕は考えています。
この記事は、カロリー管理・4ステップのSTEP3(PFCに分ける)にあたります。全体の地図は「カロリー管理の始め方」の記事にまとめています。
筋肉を守るには、たんぱく質と一緒に「運動の組み立て方」も効いてきます。「筋トレと有酸素、どっちが先?」の記事で、40代の運動の順番を解説しています。
※この記事は、運営者個人の体験と一般的に知られている情報をもとにまとめたものです。効果や感じ方には個人差があり、特定の効果を保証するものではありません。持病のある方・体調に不安のある方は、実践の前に医師などの専門家にご相談ください。詳しくは免責事項をご覧ください。




