1ヶ月で何キロ痩せるのが健康的?「20キロ」がなぜ危ないのか
早く痩せたい気持ちは、とても自然なものです。でも短い期間で一気に体重を落とそうとすると、体にいくつかの負担がかかると指摘されています。
まず、急な減量では脂肪だけでなく筋肉まで落ちやすくなります。筋肉が減ると、じっとしていても使うカロリー(基礎代謝)が下がります。すると、その後かえって痩せにくくなり、リバウンドにつながりやすいと言われています。
- 筋肉(体をつくる部分)が減り、基礎代謝が下がるおそれ
- 栄養不足で、体調をくずしたり気分が落ち込んだりするおそれ
- 急な減量は胆石(たんせき)のリスクが上がると指摘されている(NIDDK)
- つらすぎて途中で挫折しやすい
アメリカのNIDDK(厚生労働省eJIMで紹介)でも、「2週間で約9kg」のような非現実的な目標は、挫折の原因になると戒めています。
40代からは、そもそも痩せにくい
もうひとつ知っておいてほしいことがあります。40代を過ぎると、若い頃より痩せにくくなるのは自然なことです。あなたの努力不足ではありません。
厚生労働省のe-ヘルスネットによると、加齢とともに基礎代謝は下がります。おもな原因は筋肉が減ることです。たとえば70kgの男性の場合、1日に使うカロリーは20代で約1680kcal、50代では約1505kcalと計算されます。その差は1日およそ175kcalとされています。
だからこそ、若い頃と同じ無茶なやり方ではなく、大人向けのやり方に切り替えることが大切です。
りきさんの目標「年内に9kg」を分解してみる
飼い主のりきさんは47歳。43歳のときに人生最高体重になり、そこから一念発起して1年5ヶ月で12kgの減量に成功した経験があります。でも今はリバウンド中で、再挑戦しているところです。
そのりきさんの今回の目標が「年内に9kg痩せる」。これを、無理のない目標に分解していきます。
ステップ1:脂肪を9kg落とす、と言い換える
「9kg痩せる」は、正しくは「筋肉はできるだけ残して、脂肪を9kg落とす」と言い換えます。筋肉まで落としてしまうと、さっき話したように、あとで痩せにくくなるからです。なぜ落とした体重が戻ってしまうのか、その仕組みは別の記事「12kg痩せたのに、なぜリバウンド?4つの原因」でくわしく紹介しています。
そして今が7月なので、年末までは約6ヶ月。「6ヶ月かけて、脂肪を9kg分減らす」が目標になります。
ステップ2:脂肪1kg=約7200kcalでカロリーに置きかえる
脂肪を減らすには、どれくらいのエネルギーが関係するのでしょうか。
脂肪1kgは、およそ7200kcalに相当すると計算されます(体脂肪のうち約8割が脂肪なので、9kcal×1000g×0.8で計算した概算です)。
これを9kg分にすると、次のようになります。
- 7200kcal × 9kg = 約64800kcal
ステップ3:1日あたりに割る(アンダーカロリーの計算)
6ヶ月はおよそ180日です。さっきの64800kcalを、180日で割ってみます。
- 64800kcal ÷ 約180日 = 1日あたり約360kcal
つまり、(体が使うカロリー)から(食べるカロリー)を引いて、1日あたり約360kcal分だけ「使うほうが多い」状態をつくれればいい、という目安になります。この「使うほうが多い」状態を、アンダーカロリーと呼びます。
360kcalは、食事を少し減らすのと、少し体を動かすのを合わせて届く数字です。たとえば、ご飯を軽く一杯減らす、いつもより長めに歩く。その組み合わせでも近づけます。
大事なこと:この計算は「目安」であって、その通りには進みません
ここが一番のポイントです。今の計算は、あくまで理論上の目安です。実際にはこの数字どおりには進みません。それが普通なので、ズレても落ち込まないでください。
理由は主に3つあります。
- 体重が減ると、体が使うカロリーも下がるので、途中から進みが鈍くなります(停滞期)。これは体が正常に働いている証拠です。
- 使うカロリーも食べるカロリーも、正確には測れません。あくまで推定の数字です。
- 体の中の水分やグリコーゲン(体にたくわえた糖)の量、そして人による個人差で、体重は日々上下します。
ですから「1日360kcalで、計算どおり9kg減る」と考えるのではなく、「これくらいを目安に、半年かけてゆっくり近づけていく」と考えるのが現実的です。数字はすべて「約」「目安」であり、感じ方や進み方には個人差があります。
3つ目の「水分やグリコーゲン」は、思っているより大きく動きます。たまった糖と水が抜けるだけで、体重は約2.4kg動く計算です。朝の数字に振り回されない見方は「ダイエットと水分補給、体重計の読み方」にまとめています。
なお、健康的に減らすペースの目安として、日本肥満学会の診療ガイドライン(2022年)では、3〜6ヶ月で今の体重の3〜5%程度とされています。月に2kg前後、というのがひとつの目安です。9kgが自分の体重の何%にあたるかも、いちど計算してみると、無理のない目標か確かめられます。
体調に不安がある方、持病のある方は、始める前に医師や専門家に相談してください。
まとめ:小さく・測れる・体調優先
無茶な目標は、体をこわし、心も折れやすくします。大人のダイエットは、次の3つで組み立てると続けやすくなります。
- 小さく:1ヶ月20kgではなく、半年で9kg。1日約360kcalの差、というサイズまで小さくする
- 測れる:脂肪1kg=約7200kcalのように、数字に置きかえて見える形にする
- 体調優先:計算どおりに進まなくて当たり前。停滞しても自分を責めず、体調を最優先にする
今日できる小さな一歩は、体重を毎日測って記録することです。りきさんも、今もずっと毎日測り続けています。数字がズレても、記録が続いていれば、それだけで前に進んでいます。
この記事は、カロリー管理・4ステップのSTEP1(目標を立てる)にあたります。全体の地図は「カロリー管理の始め方」の記事にまとめています。
※この記事は、運営者個人の体験と一般的に知られている情報をもとにまとめたものです。効果や感じ方には個人差があり、特定の効果を保証するものではありません。持病のある方・体調に不安のある方は、実践の前に医師などの専門家にご相談ください。詳しくは免責事項をご覧ください。
参考にした情報
- 厚生労働省 eJIM(肥満・体重管理)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「加齢とエネルギー代謝」
- 日本肥満学会 肥満症診療ガイドライン2022
- NIDDK(Dieting & Gallstones)









