
筋トレの前のストレッチは、何分やればいいのか。朝の時間が限られていると、ここを削りたくなる40代以上の方も多いと思います。
結論を先に書きます。
- 研究に「合計で何分」という決まりは見当たりません。決め手になるのは、伸ばし方です
- じっと伸ばす場合も、1か所60秒未満なら直後の力への影響は小さいとされています
- 筋トレの前は、体を動かしながら温める準備を中心にする考え方が多く見られます
- ストレッチだけでケガを防げるかは、研究でもはっきりしていません
- 首や腰に痛みがある人は、まねする前に医師に相談してください
書いているのは、健康や運動の資格を持っていない、一般の47歳です。筋トレは日曜以外の週6日、朝の仕事前に職場のジムで、ストレッチ込みで30分やっています。
僕は減量を始めた2022年4月から、ずっとストレッチをほとんどせずに、いきなり筋トレをしていました。途中で、動かすストレッチがよいことを雑誌で読んで知ったあとも、面倒でやりませんでした。2026年7月に筋トレを再開した初日から、ストレッチを入念にするようになりました。いまは筋トレの前に5分くらい、6つの動きを10回ずつやっています。
この記事では、僕のやり方の変化と、研究で分かっていることを並べました。読み終えるころには、時間のない朝でも、筋トレ前の準備を「削る」のではなく「動かす5分」として残す形が見えてくるはずです。
読む方の状況によって、先に読む章が変わります。
- 時間のない朝に何をするか知りたい人:「再開してからの朝5分」の章へ
- 「逆効果」が気になる人:「じっと伸ばすと逆効果?」の章へ
- ケガが心配な人:「ケガは防げるのか」の章へ
- 首や腰に痛みがある人:「首や腰が痛むとき」の章へ
結論:何分より伸ばし方
筋トレの前のストレッチに、研究で決まった「合計◯分」は見当たりません。研究が示しているのは、1か所をどのくらいの長さ伸ばすか、どんな伸ばし方をするか、です。
ここからは、ストレッチを2種類に分けて書きます。
- 静的ストレッチ:反動をつけず、伸びた姿勢でじっと止める
- 動的ストレッチ:関節を動く範囲いっぱいまで、くり返し動かす
「合計の時間」より「1か所の長さ」
研究のまとめ(Behm 2016)によると、じっと伸ばすストレッチで直後の力が落ちるかどうかは、1か所の長さで変わりました。60秒未満なら、影響は小さいとされています。
一方で、合計で何分やればよいかを決めた研究は、今回の調べでは見つかりませんでした。検索で上位に出た記事の「5〜10分」という数字にも、根拠は示されていませんでした。
準備は「動かす」を入れる
104の研究をまとめたSimic 2013は、準備運動をじっと伸ばすストレッチだけにするのは、おおむね避けたほうがよいとしています。Behm 2016も、ストレッチを入れるなら、そのあとに体を動かす運動を入れる準備を勧めています。
体の硬さそのものを何とかしたい場合は、話が別です。アメリカスポーツ医学会の見解(Garber 2011)は、柔軟性を保つ運動の目安を「1つの種目で合計60秒・週2〜3日以上」としています。これは筋トレ前の準備の目安ではありません。
迷ったら、まずは「筋トレの前に、体を動かす準備を短く入れる」から始めてみてください。
以前はほぼゼロだった
いまは筋トレの前にストレッチをしていますが、以前の僕は、ほとんどしていませんでした。
減量期から、いきなり筋トレ
減量を始めた2022年4月から、痩せたあとの時期まで、ずっと同じでした。ストレッチはほぼせずに、いきなり筋トレです。
知っていたのに、面倒で
「筋トレの前は、じっと伸ばすより動かすストレッチがよい」ということは、痩せたあとの時期に雑誌で読んで知っていました。それでもやらなかった理由は、ひとことで言うと「面倒だった」からです。
ふくらはぎが肉離れのように
ストレッチをほとんどしないまま、バックランジ(片足を後ろに引いて腰を落とす種目)をしていたとき、右のふくらはぎが肉離れのようになったことがあります。「肉離れのよう」というのは僕の言い方で、診断名ではありません。
このときのことは、ダンベルの重さの上げ方・下げ方の記事にも書いています。
再開してからの朝5分
2026年7月、9か月ぶりに筋トレを再開した初日から、ストレッチを入念にするようになりました。入念にしたのは、首まわり・肩まわり・腰まわりです。
理由は2つあります。1つは、さきほどのふくらはぎの経験です。もう1つを、僕の言葉のまま書きます。
「もう若く無いので怪我が怖かった」
じっと伸ばすストレッチではなく、動かすストレッチを選んでいるのは、雑誌で読んだ知識があったからです。
いまは筋トレを始める前に、5分くらいでまとめてやります。1つの動きを10回ずつです。ここに書くのは、僕の体で僕がしていることです。誰にでも合う手順として書いているわけではありません。
再開した初日に、ストレッチのほかに何をしたかは、筋トレを休んだあとの再開の仕方の記事にまとめました。
先生に言われた3つの動き
僕は、整形外科でストレートネック(首の骨の自然なカーブが少ない状態)と言われています。最初の3つは、整形外科の先生に言われた首・肩まわりの動きです。
- ①首:両腕を首の後ろで組み、腕は下へ、首は逆へ力を入れる(1回5秒くらい)
- ②シュラッグ(肩をすくめて上げ下げする動き)を、ダンベルを持たずに
- ③腕を後ろに引いて、肩甲骨を寄せる
先生には、毎日、朝と夕方に20回ずつと言われています。いまの僕は、朝は3つとも10回、夜は3つとも20回です。朝を10回にしているのは、朝の時間が限られているのと、首の痛みがだいぶ減ったと感じているからです。
朝の回数は、僕が自分で決めていることです。医師に言われた回数を変えたいときは、自分で判断せず、医師に相談してください。首に不安がある人も、まねする前に医師に相談してください。
動画やSNSを参考にした3つ
残りの3つは、YouTubeやInstagramを参考にしました。
- ④伸びをして、体を左右・前後に動かす
- ⑤両手を合わせて、腰を左右に振る
- ⑥蹲踞(そんきょ)の姿勢から肘を膝につけ、体を左右・上下に揺らす
④が全身、⑤が腰まわり、⑥が骨盤まわりです。蹲踞は、つま先立ちで深くしゃがみ、膝を左右に開いた姿勢です。6つの順番に、特に理由はありません。
②〜⑥は、くり返し動かす動きです。研究でいう動的ストレッチに近いものです。①は、1回5秒くらい力を入れる動きで、研究で調べられている「じっと伸ばすストレッチ」とは種類が違います。
筋トレの序盤には、25ポンド(約11.3kg)のダンベルを持ったシュラッグを入れています。これは先生に言われたものではなく、僕が自分で早めに入れているものです。振り返ってみると、ストレッチの続きのような感覚でやっています。
時間がない朝は筋トレを削る
朝の時間が足りない日は、筋トレのほうを削ります。前から順にやって、後ろの種目を外す形です。ストレッチの5分は残します。
30分の枠の中での種目の並べ方は、朝30分の筋トレで種目をどう選ぶかの記事にまとめました。
体が重い朝は10分くらい
起きられても体が重い朝は、月に2回くらいあります。そういう朝は、筋トレもHIITもしません。HIITは、短い時間に強い運動をくり返すトレーニングです。代わりに職場のジムで10分くらい、いつものストレッチを、いつもよりゆっくり丁寧にやります。
そのときのことを、僕の言葉のまま書きます。
「起きれても身体が重い時は筋トレはせずストレッチをメインに身体を動かします。そうする事で、頭がスッキリして、仕事にも身が入ります」
眠れなかった朝の筋トレの考え方は、別の記事にまとめました。
じっと伸ばすと逆効果?
運動の直前にじっと伸ばすと、直後の力は平均で少し下がるとされています。ただ、1か所60秒未満なら、下がり方は小さいとされています。悪い影響が目立つのは、主に長く伸ばしたときです。
60秒以上と未満で差がある
研究のまとめ(Behm 2016)によると、運動の直前のじっと伸ばすストレッチで、直後の力は平均で約3.7%下がりました。1つの筋肉を伸ばす長さで分けると、次のとおりです。
- 60秒以上:約4.6%下がった
- 60秒未満:約1.1%下がった

別の研究のまとめ(Kay 2012)でも、悪い影響は主に60秒以上の長さに限られていました。30秒未満や30〜45秒では、はっきりした影響は見られませんでした。
104の研究でも、短いほど小さい
Simic 2013では、じっと伸ばしたあとの筋力は平均で5.4%下がりました。年齢・性別・体力による差は見られず、1つの筋肉あたり45秒以下で悪い影響が最も小さかったとしています。
ただし著者は、45秒未満の短いストレッチでも、直後の筋力や瞬発力をわずかに下げる可能性は残ると添えています。
動かすストレッチは少し上がる
Behm 2016によると、動的ストレッチを運動の数分前に行うと、成績が約1.3%上がっていました。
準備運動で79%の項目が上がった
Fradkin 2010は、体を温める準備運動(ウォームアップ)の研究をまとめたものです。準備運動をしたほうが、調べた項目の79%で成績が上がっていました。ここでの準備運動は、ストレッチ以外の運動を含んだものに限って調べています。
ただし、ここまでの研究の多くは、若い健康な人や競技をする人が対象です。40代以上を中心に調べた研究ではないので、そのまま同じとは言い切れません。
「逆効果」が気になる人は、ストレッチをやめるより、長さと種類を選ぶことから始めてみてください。
ケガは防げるのか
ストレッチだけでケガを防げるかは、研究でははっきりしていません。「ストレッチをすればケガをしない」とは、いまの研究からは言えません。
研究でははっきりしない
Lauersen 2014は、ケガの予防を調べた試験をまとめたものです。ストレッチをしたグループでは、ケガがはっきり減ったとは言えない結果でした。一方で、筋力トレーニングをしたグループでは、スポーツのケガが3分の1未満に減っていました。スポーツをする人を対象にした研究です。
Behm 2016でも、じっと伸ばすストレッチは、ケガ全体にはっきりした影響を示していません。
動的ストレッチだけでケガを直接調べた研究は、2件しかないとされています(Behm 2023)。著者は、さらに研究が必要だとまとめています。
厚労省はウォームアップを勧める
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」には、運動を指導する立場の人に向けた情報シート「身体活動・運動を安全に行うためのポイント」があります。その中で、ある程度の強さの運動をするときは、ウォームアップ(準備運動)を必ず行うようにとしています。
その目的として、次の4つが挙げられています。
- 運動中のケガや、体の急な不調を防ぐ
- 運動の成績を上げる
- 運動に向けて気持ちを整える
- その日の体調をつかむ
ここでいうウォームアップは、ストレッチだけを指してはいません。ストレッチだけでケガを防げる、という意味ではない点に注意してください。
7月の再開後は出ていない
ストレッチを入念にするようになってからの変化を、僕の言葉のまま書きます。
「怪我が少なくなったと思います」
僕が言うケガは、肉離れのようなケガやテニス肘など、筋を痛めるケガのことです。2026年7月に再開してからは、出ていません。腰痛は、ここには含めていません。
これは僕の感覚としての話です。ストレッチだけの効果とは言えません。
入りの違いは感じていない
ストレッチをしたあと、筋トレの入りが違うかというと、僕は特に感じていません。
ケガが心配な人は、ストレッチに頼りきらず、準備運動全体と、その日の体調を見ることを考えてみてください。
40代以降は省かない
体の柔軟性は、年齢とともに下がるという研究があります。筋トレの前の数分は、体を温めるだけでなく、その日の体調を確かめる時間にもなります。
柔軟性は年齢とともに下がる
55〜86歳の436人を調べたStathokostas 2013によると、柔軟性は10年あたり次のように下がっていました。
- 腕を横に上げる角度:男性5度、女性6度
- 股関節を曲げる角度:男性6度、女性7度
55歳以上の研究で、40代のデータではありません。
その日の体調を確かめる
厚生労働省の同じ情報シートは、毎回の運動の前に体調を確かめる習慣を勧めています。確かめる項目の中には、「足腰の痛みが強い」「熱がある」「体がだるい」なども入っています。1つでも当てはまる日は、無理に運動をせず休むよう書かれています。
これから筋トレを始める人は、筋トレの始め方を6つの手順でまとめた記事も参考にしてください。
30代以前の人にも
僕の思いを、僕の言葉のまま書きます。
「年齢と共にストレッチの重要性は高まっていると思います。怪我をしないために、ぜひ動的ストレッチを!!」
これは僕の思いで、ケガをしないと約束できるものではありません。それでも、30代以前の人にも、運動の前に体を動かすストレッチを入れてほしいと思っています。
首や腰が痛むとき
首や腰に痛みがある人は、自己判断でストレッチや筋トレを始めず、先に医師に相談してください。
まず医師に相談を
厚生労働省の情報シートでは、運動で悪くなる腰痛・膝痛などがある場合は、あらかじめ医師に相談してから始めるよう書かれています。始めるときも、低い強さ・短い時間からとしています。
日本整形外科学会は、腰痛に次のような症状を伴うときは、放っておかず、すみやかに整形外科を受診するよう案内しています。
- 安静にしていても、痛みが軽くならない
- だんだん悪くなる
- 熱がある
- 脚がしびれる、力が入らない
- 尿が漏れる など
その人の状態に合った体操や運動のプログラムも、整形外科で相談するよう勧めています。
僕は先生の3つを朝と夜に
僕は、整形外科の先生に言われた3つの動きを、朝は10回、夜は20回続けています。先生に言われてしているもので、誰にでも合うとは限りません。首に痛みやしびれがある人は、まず受診してください。
腰が気になる時期は外す種目
僕は、いまも腰が痛むときは休むことがあります。腰が気になる時期は、デッドリフト(床からダンベルを引き上げる種目)を外しています。
痛みが続くときは、ストレッチで様子を見続けず、受診してください。筋トレのあとの筋肉痛が残っている日については、筋肉痛の日に筋トレをするかどうかの記事にまとめました。
よくある質問
Q. ストレッチは逆効果?
やめるより、長さと種類を選ぶという考え方があります。じっと伸ばすと直後の力が少し下がるという研究はあります。ただ、1か所60秒未満なら影響は小さいとされています(Behm 2016)。
Q. 何分前にやればいい?
「何分前がよい」と言い切る研究は、今回の調べでは見つかりませんでした。Behm 2016によると、ストレッチで広がった動く範囲は、多くの場合30分未満で元に戻るとされています。僕は、筋トレを始める前にまとめてやっています。
Q. 時間がない朝はどちらを削る?
僕は、筋トレのほうを削ります。ストレッチの5分は残して、後ろの種目を外します。研究で「こちらを削るべき」と決まっているわけではありません。僕のやり方として読んでください。
Q. どちらを先にやる?
僕は、ストレッチが先です。Behm 2016は、ストレッチを入れるなら、そのあとに体を動かす運動を入れる準備を勧めています。
Q. 首の動きをまねしていい?
まねする前に、医師に相談してください。僕の①〜③は、整形外科の先生に言われてしている3つの動きで、誰にでも合うとは限りません。先生には朝と夕方に20回と言われていて、僕は朝は時間が限られているので10回、夜は20回にしています。回数を自分で減らしてよいという意味ではありません。回数も、医師に相談して決めてください。首に痛みやしびれがあるときは、自己判断で動かさず受診してください。
まとめ:動かす5分を残す
- 研究に「合計で何分」という決まりは見当たらない
- じっと伸ばす場合も、1か所60秒未満なら直後の力への影響は小さい
- 筋トレの前は、体を動かす運動を含めた準備を中心にする考え方が多い
- ストレッチだけでケガを防げるかは、研究でもはっきりしていない
- 僕は減量期からずっとほぼゼロで、ふくらはぎが肉離れのようになったことがある
- 再開初日からストレッチを入念に。いまは筋トレの前に5分くらい、6つの動きを10回ずつ。時間がない朝は筋トレを削る
- 首や腰に痛みがある人は、まねする前に医師に相談する
僕の6つは、僕がしていることで、誰にでも合うとは限りません。読んでくださった方には、自分に合うものを選んでほしいと思っています。
今日からの一歩は、1つで足ります。動画などで、自分に合いそうな動的ストレッチを1つ探して、次の筋トレの前に入れてみてください。
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。朝の時間が限られていると、ストレッチを削りたくなる日もあると思います。僕も、減量期からずっと、ほとんどしていませんでした。筋トレの前に何をしているか、よければお問い合わせのページから教えてください。同じように体と向き合う一人として、自分に合う朝の準備を一緒に探していけたらうれしいです。

参考にした情報
Behm DG ほか(ストレッチが運動の成績・動く範囲・ケガに与える直後の影響の系統的レビュー)Applied Physiology, Nutrition, and Metabolism, 2016
Kay AD, Blazevich AJ(じっと伸ばすストレッチが最大筋力に与える直後の影響の系統的レビュー)Medicine & Science in Sports & Exercise, 2012
Simic L ほか(運動前のじっと伸ばすストレッチは最大筋力を下げるか:メタ分析)Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports, 2013
Fradkin AJ ほか(ウォームアップが運動の成績に与える影響のメタ分析)Journal of Strength and Conditioning Research, 2010
Lauersen JB ほか(スポーツのケガを防ぐ運動のメタ分析)British Journal of Sports Medicine, 2014
Behm DG ほか(動的ストレッチとケガの発生についての総説)Sports Medicine, 2023
Stathokostas L ほか(55〜86歳の柔軟性と身体活動)Journal of Aging Research, 2013
Garber CE ほか(アメリカスポーツ医学会の運動処方の見解)Medicine & Science in Sports & Exercise, 2011
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(本文)
厚生労働省 情報シート「身体活動・運動を安全に行うためのポイント」(同じガイドの一部)
※この記事は、運営者個人の体験と一般的に知られている情報をもとにまとめたものです。効果や感じ方には個人差があり、特定の効果を保証するものではありません。持病のある方・体調に不安のある方は、実践の前に医師などの専門家にご相談ください。詳しくは免責事項をご覧ください。







