朝の30分しかないのに、種目リストが多すぎて選べない。減らすのが怖くて、結局どれも中途半端になる。同じところで止まっている方は多いと思います。
先に結論をお伝えします。「何種目が正解」という基準は、公的機関のガイドラインにも研究にも見当たりませんでした。 決めるのは数ではなく、どの「動き」を残すかです。
僕は1978年生まれの47歳です。43歳で人生最高体重を迎え、そこから1年5ヶ月で12kg減量しました。その後リバウンドし、いまは再挑戦中です。平日は毎朝、職場のジムで30分だけ筋トレをしています。種目は全部で17種目あり、曜日で部位を分けずに、毎朝そのほとんどを1セットずつ行っています。健康や運動の資格は持たない、ただの一般の40代です。
40代以降で、限られた時間のなかで運動を組み直したい方に向けて書きました。この記事を読み終える頃には、長い種目リストから「今日やる3つ」を選ぶ基準が手に入ります。増やす話ではなく、削る話です。

結論:筋トレ30分は「全身を少しずつ」。僕は17種目を1セットずつ回します
30分という時間から逆算するなら、部位を曜日で分けるより、1回のなかで全身に少しずつ触れる形が現実的です。理由は、短い時間だと「今日は脚の日」と決めた瞬間に、その週の上半身が丸ごと抜け落ちるからです。
僕のやり方はこうです。種目は全17種目あります。曜日で部位を分ける「分割法」ではなく、毎回全身をひととおり行う「全身法」でやっています。1回30分で、そのほとんどを1セットずつ行っています。
同じ部位を続けてやらないので、種目の間に休憩を入れずに進められます。なぜ休憩を入れずに進められるのかと、上半身12種目の並べ方は、上半身の筋トレで何をやるかを決める記事に書きました。曜日ごとに部位を決めていないので、「今日は何の日か」を先に決めておく必要がありません。
30分という枠が先にある人ほど、部位を分けるより全身を薄く回すほうが組みやすいというのが、いま僕がたどり着いている形です。
筋トレ30分で何種目やるべき?答えは公的機関にも研究にもありませんでした
はっきりした基準は、公的機関のガイドラインにも研究にも見つかりませんでした。数を決めるより、下半身・押す動き・引く動きを1つずつ入れるところから始めるほうが現実的です。
ネットの答えは「6種目」「3〜4種目」「1部位1種目」とバラバラでした
調べていて、まずここで手が止まりました。同じ「30分の筋トレ」を扱った記事なのに、答えが記事ごとに違うのです。6種目と書いてある記事、3〜4種目と書いてある記事、多くても5種目までと書いてある記事、1部位1種目と書いてある記事がありました。
さらに気になったのは、なぜその数字なのかを説明している記事が1本もなかったことです。根拠となる研究やガイドラインの引用も見当たりませんでした。
読者が迷うのは当然です。答えがバラバラで、しかも理由が書かれていないのですから。
公的機関が言っているのは「数」ではなく「主要な筋肉を週2日以上」
では、公的な推奨はどうなっているのか。ここは種目数の話をしていませんでした。
- WHOの身体活動ガイドライン(2020年)では、成人はすべての主要な筋群を使う中強度以上の筋力強化活動を、週2日以上行うことがすすめられています
- 厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人・高齢者ともに筋力トレーニングを週2〜3日行うことが推奨されています
- アメリカスポーツ医学会(ACSM)が2026年に改訂した推奨でも、「週2回以上、すべての主要な筋群を動かして行う」という書き方になっています
3つに共通しているのは、「曜日で部位を分けなさい」とはどこも言っていないという点です。むしろ「主要な筋肉すべてに触れる」という言い方をしています。
だから迷うのは当たり前。決めるのは「数」ではなく「どこを押さえるか」
種目数の正解が存在しないなら、数から決めようとすると永遠に決まりません。決められるのは「どこを押さえるか」のほうです。
具体的には、下半身・上半身の押す動き・上半身の引く動きの3つを先に確保します。そのうえで、時間が余ったぶんだけ肩や腕を足していきます。順番を逆にしないだけで、朝の迷いはかなり減ります。
僕が曜日で部位を分けず、全身法にしている2つの理由
僕が全身法を選んでいる理由は2つです。1つは時間の都合、もう1つは僕自身の考え方です。研究がそう言っているからではありません。
理由1:平日毎朝30分に、部位を分ける余裕がない
1つめは単純に、平日毎朝30分という短い時間に合うからです。
部位を分ける組み方は、週に何回か通えることが前提になります。「今日は胸、明日は背中、あさっては脚」と回していくので、どこかで1日抜けると、その週はその部位に一度も触れないまま終わります。
僕の場合、動けるのは平日の朝の30分だけです。以前、疲れがたまって朝に起きられなくなり、筋トレができなくなった時期もありました。
だから、1回のなかで全身に少しずつ触れる形にしました。1日休んでも、次に行った日にまた全身に触れられるからです。
理由2:一部位を追い込まないようにしている(これは僕の判断です)
2つめは、40代になって、一部位を追い込むとケガをしやすいと僕が考えているからです。
先に大事なことを書きます。これは僕個人の判断であって、研究で決着している話ではありません。 「全身法のほうがケガをしにくい」という比較研究は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。
僕は過去に、ケガと生活の変化が重なって筋トレをやめた時期があります。いまは、1つの部位を限界まで追い込む組み方は選んでいません。同じ30分を、あちこちに薄く配るほうにしています。
あなたに同じやり方をすすめるつもりはありません。ここに書いたのは、僕がなぜこの形にしているかという理由だけです。
全身法と分割法、研究ではどちらが有利なのでしょうか
週のトレーニング量が同じなら、全身法と分割法で差は見られなかった、という報告があります。続けやすいほうを選んでよさそうです。ただし個人差があります。
「週の合計が同じなら差はなかった」という報告があります
筋トレの経験がない女性50人を12週間追った試験では、全身法を週2回行ったグループと、部位を分けて週4回行ったグループのあいだに、筋力や筋肉量の伸びの差は見られなかったと報告されています(Pedersen ら、2022年)。ベンチプレスやレッグプレスの伸びは、どちらのグループも同じような幅でした。
先ほど紹介したACSMの2026年の推奨も、「週2回以上、主要な筋群すべてを動かす」とは書いていますが、曜日ごとの部位分けを指定してはいません。
つまり、「分割法にしないと伸びない」ということはなさそうです。逆に「全身法のほうが優れている」とも言えません。週の合計をどう積むかのほうが先にある、という理解が今のところ無難です。
分かっていないことも、正直に書いておきます
年齢と回復の関係は、まだはっきりしていません。
高齢者が筋トレをしたあとの回復を調べた27件の研究をまとめたレビュー(Hayes ら、2023年)では、研究ごとの結果のばらつきが非常に大きく、明確な推奨を出すのは難しいと結論づけられています。若い人より回復が遅かった研究もあれば、逆の研究も、差がなかった研究もありました。
ですから「40代以上は回復が遅いから全身法にすべき」とは書けません。回復の感じ方には個人差が大きい、というのが現時点で言えることです。自分の体の反応を見ながら決めていくことになります。
17種目から3つだけ残すなら、僕はこの3つを残します

種目が多すぎるときは、部位ではなく「動き」で残すと決めやすくなります。僕が3つだけ残すなら、バックランジ・ダンベルプレス・ダンベルベントオーバーロウです。
理由はひとつだけです。下半身・胸・背中と、大きい筋肉を一つずつ押さえられるからです。
1. バックランジ(下半身)
下半身は、体のなかでも大きい筋肉が集まっている場所です。僕はバックランジを毎日20回×3セット行っています。平日は職場のジムで、休日は家でやっています。
ただし、これは僕がそうしているというだけの話です。厚生労働省のガイド2023の推奨は週2〜3日なので、あなたが毎日やる必要はありません。回数やセット数も、種目によってばらつくのが普通です。
バックランジを毎日続けている話は、40代からのバックランジについて書いた記事にまとめてあります。
2. ダンベルプレス(胸=押す動き)
2つめは、上半身を「押す」動きです。僕はダンベルプレスを入れています。胸から腕の裏側にかけて、まとめて使える動きです。
僕の職場のジムにはダンベルがあるので、この形にしています。器具がない場合の置き換えは、次の見出しで書きます。
3. ダンベルベントオーバーロウ(背中=引く動き)
3つめは、上半身を「引く」動きです。僕はダンベルベントオーバーロウを入れています。背中側の大きい筋肉を使う動きです。
「押す」だけにすると、体の前側ばかりを使うことになります。引く動きを1つ残すのは、そのバランスを取るためです。
研究が挙げる「最小構成」と、種類が同じでした
僕がこの3つを挙げた理由は、さきほど書いたとおり下半身・胸・背中と、大きい筋肉を一つずつ押さえられるからです。研究を根拠に選んだものではありません。
ところが、この記事を書くために調べていて、気づいたことがあります。時間が限られた人向けの筋トレの組み方をまとめた学術レビュー(Iversen ら、2021年・Sports Medicine誌)が挙げている最小構成と、種類が同じだったのです。
そのレビューは、時間効率を最優先にするなら、いくつもの関節と筋肉を同時に使う種目を優先すべきだとしています。そのうえで、少なくとも次の3つは入れることを挙げています。
- 脚を押す種目を1つ(例:スクワット)
- 上半身を引く種目を1つ(例:懸垂)
- 上半身を押す種目を1つ(例:ベンチプレス)
僕の3つは、バックランジが脚を押す種目、ダンベルベントオーバーロウが上半身を引く種目、ダンベルプレスが上半身を押す種目です。種目名は違いますが、動きの種類は3つとも重なっていました。
念のため書き添えます。これで「正解だった」わけでも、「3つで十分」という話でもありません。 レビューはあくまで、時間が限られている場合の最低ラインとして挙げているものです。
それでも、種目の名前ではなく動きの種類で選ぶという考え方は、17種目を前に固まっている朝にはとても役に立ちます。今日やる3つが、迷わずに決まるようになります。
ダンベルがない人は、どう置き換えればいいでしょうか

僕のメニューはダンベルを使うものが中心です。そのままでは自宅で運動する方が真似できません。ここは正直に書いておきます。
大事なのは種目名ではなく、「脚」「押す」「引く」の3つが埋まっているかです。埋め方は道具に合わせて変えて構いません。
- 脚 … 何も持たないバックランジやスクワット。まずは自分の体重だけで十分です
- 押す … 腕立て伏せ。床がつらければ、机や壁に手をついて角度を浅くする形から始められます
- 引く … ゴムチューブを使う、丈夫なテーブルの縁を持って体を引き寄せる、水を入れたペットボトルを持って引く、などの方法があります
「引く動き」だけは、道具なしで代わりを見つけるのが難しいのが正直なところです。ゴムチューブは値段も置き場所も負担が小さいので、ひとつあると3つめが埋めやすくなります。
なお、動作のやり方をここで細かく解説することはしません。文章だけでは正しい形が伝わりきらないからです。動画や、可能であれば指導を受けられる場所で一度確認してください。痛みが出たらその場で中止してください。 持病のある方、体に不安のある方は、始める前に医師や専門家にご相談ください。
種目を削るときに、気をつけたい3つのこと
削るときにも順番があります。この3つだけ押さえておけば、削りすぎで失敗しにくくなります。
1. 「脚」「押す」「引く」のどれかがゼロになる削り方は避ける
削るなら、同じ動きが重なっている種目から減らすほうが無難です。たとえば胸の種目が3つあるなら、まず1つに戻します。逆に、引く動きが1つしかないのにそれを削ると、その日は体の後ろ側にまったく触れないことになります。
2. 「毎日やる」を目標にしない
僕は平日毎朝やっていますが、それを目標にする必要はありません。厚生労働省のガイド2023は週2〜3日、WHOは週2日以上を目安にしています。ACSMの2026年の推奨でも、少ない量でも相応の効果が得られると述べられています。
週2回でも、公的な目安には届きます。「毎日できないからダメだ」と考えて、まるごとやめてしまうほうがもったいないと思います。
それでも止まってしまったときのために、9ヶ月休んだあとに何から戻したかを別の記事にまとめました。
3. すぐに体重が減らなくても、削り方のせいとは限らない
筋トレを再開した時期に、体重が落ちずむしろ増えることがあります。僕自身、再開後の1ヶ月で体重は減らずに約1kg増えました。このときの数字と受け止め方は、筋トレを始めた頃に体重が増えたときの話に詳しく書いています。
体重を動かしたいときは、運動より食事の側から見直すほうが手をつけやすいと感じています。何から始めるか迷っている方は、カロリー管理を4つの手順で始める記事から読んでみてください。
まとめ:30分の筋トレメニューは「増やす」より「回す」
朝30分で種目が多すぎると感じたら、数を決めようとせず、動きの種類で残すところから始めてみてください。
- 「何種目が正解」という基準は、公的機関にも研究にも見当たりませんでした
- 公的な推奨は「主要な筋肉を週2日以上(厚生労働省は週2〜3日)」。曜日での部位分けは指定されていません
- 週の合計が同じなら、全身法と分割法で差は見られなかったという報告があります
- 残すなら「脚」「上半身を押す」「上半身を引く」の3つ。僕はバックランジ、ダンベルプレス、ダンベルベントオーバーロウを残します
- 道具がなければ、自重やゴムチューブで同じ3つの動きを埋めれば構いません
僕が筋トレを先に持ってくるのは、40代になって一番守りたいのが筋肉だからです。有酸素運動と組み合わせる日の順番については、筋トレと有酸素運動をやる順番を整理した記事にまとめています。
明日の朝は、リストを眺める前に3つだけ決めてから家を出てみてください。それだけで、30分の使い方が変わります。
30分の中身を決める前に、そもそも何から始めるかを決めたい方は、筋トレを始める順番の道案内もあわせてどうぞ。
長い記事を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
最後にひとつ教えてください。あなたが今いちばん「削れない」と困っているのは、どの部位の種目ですか? コメントで教えていただけたら、次の記事の参考にさせていただきます。
参考にした情報
- WHO『WHO Guidelines on Physical Activity and Sedentary Behaviour』(2020) RECOMMENDATIONS
- 厚生労働省「身体活動・運動の推進」(健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023の配布ページ)
- 澤田亨「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023の概要」総合健診 52(2):333-341, 2025
- ACSM Position Stand「Resistance Training Prescription for Muscle Function, Hypertrophy, and Physical Performance in Healthy Adults: An Overview of Reviews」Med Sci Sports Exerc 58(4):851, 2026
- Iversen VM ら「No Time to Lift? Designing Time-Efficient Training Programs for Strength and Hypertrophy」Sports Med 51(10):2079-2095, 2021
- Pedersen H ら「A randomized trial on the efficacy of split-body versus full-body resistance training in non-resistance trained women」BMC Sports Sci Med Rehabil, 2022
- Hayes EJ ら「Recovery from Resistance Exercise in Older Adults: A Systematic Scoping Review」Sports Med Open, 2023
※この記事は、運営者個人の体験と一般的に知られている情報をもとにまとめたものです。効果や感じ方には個人差があり、特定の効果を保証するものではありません。持病のある方・体調に不安のある方は、実践の前に医師などの専門家にご相談ください。詳しくは免責事項をご覧ください。






