40代になってから、「何をやれば痩せるのか分からない」と感じていませんか。走るのはひざが心配、ジムに通う時間もない。そんななかで見つけた「筋トレで基礎代謝を上げれば痩せる」という言葉に、期待をかけている方も多いと思います。
先に結論をお伝えします。筋トレで基礎代謝(じっとしていても使うカロリー)は上がりますが、その大きさは思っているよりずっと小さいです。それでも47歳の僕がバックランジを続けているのは、「減らすため」ではなく「減らさないため」です。加齢で減っていく筋肉は、主に下半身だと報告されているからです。
僕(りきanela)は47歳です。43歳で人生最高体重を迎え、そこから1年5か月で12kg減らしました。その後リバウンドして、いま再挑戦の途中にいます。
この記事では、基礎代謝が上がる大きさを数字で確かめ、40代がバックランジを選ぶ理由、家でできるやり方6ステップ、「こんな人はやらないでほしい」という注意点までまとめます。読み終えるころには、道具も広い場所もいらない筋トレを、今日から1回だけ試せるはずです。
バックランジは、片足を後ろに大きく引いて、その場で腰を下ろす自重(自分の体重だけを使う)の筋トレです。やり方は記事の後半で、6つのステップに分けて説明します。
「筋トレで基礎代謝が上がる」は本当? 数字で見てみました
結論から言います。上がります。ただし、その大きさは「毎日おにぎり1個ぶん多く食べても平気になる」ようなものではありません。
理由は、筋肉そのものが使うエネルギーが、思ったより小さいからです。バックランジを紹介している記事はたくさんありますが、「どれくらい上がるのか」を数字で書いた記事は、僕が探した範囲では見つかりませんでした。ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
筋肉1kgが1日に使うのは、およそ13kcal
体の組織ごとに、1日に使うエネルギーの量は違います。査読を受けた論文(Wangら 2010、Wangら 2012)が示している値によると、骨格筋(体を動かす筋肉)は1kgあたり1日およそ13kcal、脂肪の組織は1kgあたりおよそ4.5kcalです。
ここから計算すると、筋肉が2kg増えたときに増える安静時の消費は、1日あたりおよそ26kcalです(この計算は、論文の数値をもとに当ブログで行ったものです)。ごはん茶碗1杯(150g・およそ234kcal)の、9分の1くらいです。増えた筋肉のぶん脂肪が減って入れ替わった場合は、差し引きでおよそ17kcalまで下がります。
そして、筋肉を2kg増やすのは簡単ではありません。ましてや40代で、食事量を減らしながらとなればなおさらです。
9か月の筋トレでも、増えたのは1日あたり平均73kcal
Aristizabalらが2015年に発表した研究では、健康な成人61名が、全身を使う筋トレを96回(およそ9か月間)行いました。その結果、安静時の代謝は1日あたり1653kcalから1726kcalに増えました。差は平均でプラス73kcal、率にしておよそ5%です。
ただし、ここを飛ばさないでください。この研究では、ばらつきの幅がプラスマイナス158kcalと、平均値の2倍以上ありました。「誰でも73kcal増える」という話ではありません。ほとんど変わらなかった人も、下がった人もいたということです。著者自身も「個人差が非常に大きかった」と述べています。
Lemmerらが2001年に発表した研究でも、24週間の筋トレで安静時の代謝は全体で7%増でしたが、女性では意味のある増加が見られませんでした。著者は「変化は性別の影響を受けるが、年齢の影響は受けない」としています。40代だけを調べた研究はありませんでしたが、40代でも同じように期待できて、同じように小さい、と受け止めるのが現実的です。
40代がバックランジをやる、本当の3つの理由
僕がバックランジを選んでいる理由は、基礎代謝ではありません。40代になって一番守りたいのが筋肉だからです。ここからの3つが、その中身です。
理由1:食事制限だけで痩せると、減るのは脂肪だけではない
減量中の筋トレには、「減った体重の中身を変える」という役割があります。
理由は、食事制限だけで体重を落とすと、脂肪だけでなく筋肉も一緒に減りやすいからです。Weinheimerらが2010年に発表した、中高年から高齢の体重が多めの方を対象にした52本の研究のレビューによると、食事制限だけのグループでは、81%が「減った体重の15%以上を除脂肪量(筋肉などの脂肪以外の重さ)で失う」という結果でした。運動を組み合わせたグループでは、その割合が39%まで下がりました。
著者は「運動は、50歳以上の男性と閉経後の女性が、ゆるやかな食事制限による減量後に除脂肪量を保つのに有効な手段である」と結んでいます。
僕自身、43歳から1年5か月で12kg減らしたとき、体重計の数字ばかりを見ていました。その12kgの中身がどうだったのかは分かりません。だからこそ再挑戦の今は、減らすことと同じくらい「減らさないもの」を意識しています。
食事制限に筋トレを足す意味は、減る速度を上げることではなく、減る中身を変えることにあります。
理由2:40代の終わりから減りはじめるのは「下半身」だった
下半身から鍛えるのには、年齢に照らした理由があります。
Janssenらが2000年に発表した研究は、18歳から88歳の男女468名の骨格筋量を、全身のMRIで測ったものです。この報告によると、体重に対する相対的な筋肉量の減少は30代から始まるものの、筋肉量そのもののはっきりした減少は「40代の終わり」まで見られませんでした。そしてその減少は、主に下半身の骨格筋が減ることによるものでした。
僕は47歳です。この一文を読んだとき、正直ぞっとしました。ちょうど今、下り坂の入り口に立っているということだからです。
健康長寿ネットの「サルコペニアとは」(サルコペニア=加齢によって筋肉量や筋力が落ちた状態)にも、「筋肉(筋力)は40歳頃から少しずつ減少し」「筋肉は運動と栄養により改善を期待することができます」と書かれています。減っていくのは止められなくても、手を打てる余地はあります。
太ももやお尻は、体の中でも大きな筋肉のグループです。バックランジは、その太ももとお尻を片足ずつ使う動きです。「40代の今、下半身から」は理にかなった選び方のひとつだと思います。なお、よく見かける「大腿四頭筋は人体最大の筋肉」という説明は、もとになる資料にたどり着けなかったので使いません。
理由3:家でできるから続く。僕が筋トレをやめた理由がそこにあります
3つ目は根拠のある話ではなく、僕の実感です。それでも、40代にはここが一番大きいと思っています。
理由は、続かなければゼロだからです。僕は一度、筋トレをやめています。原因はケガと、アルバイトを掛け持ちして朝起きられなくなったことです。ジムに行けない日が続き、そのうち行かなくなり、12kg減らした体は元に戻りました。そのときの経緯は、リバウンドの原因をまとめた記事に書いています。
バックランジは、道具がいりません。畳1枚ぶんの場所と、体ひとつあればできます。僕は平日は職場のジムで、休日は家です。ジムが休みでも、雨でも、寝坊しても、家でならできます。「今日は行けなかった」で途切れない仕組みがあると、40代の再挑戦は続きます。
運動の順番でも、僕は筋トレを先にしています。守りたいのが筋肉だからです。この考え方は「筋トレと有酸素、どっちが先?」という記事にまとめました。
効果が高い運動より、明日もできる運動のほうが、結果的に長く体を守ってくれます。
ただし、有酸素運動の代わりにはなりません
正直に書いておきます。バックランジは、ウォーキングやジョギングの代わりにはなりません。
理由は、運動の強さが違うからです。強さは「メッツ」という単位で表します。じっと座っているときを1として、その何倍のエネルギーを使うかを示す数字です。国際的な一覧表2024 Adult Compendium of Physical Activities では、自重のランジを含む筋トレはおよそ3.5〜5メッツ、ゆっくりしたジョギングは6〜7.5メッツ。バックランジは、ジョギングの半分から7割ほどの強さです。
ただし3メッツ以上はあります。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」がすすめる「3メッツ以上の身体活動を週23メッツ・時以上」に、数えられる運動です。歩くことと組み合わせるのが現実的です。
なお、「体重◯kgの人が10分で何kcal」という計算式もよく見かけますが、係数のもとになる資料を確認できなかったため、消費カロリーの数値は書きません。
バックランジのやり方(6ステップ)
やり方はシンプルです。片足を後ろに引いて、腰を下ろして、戻る。これだけです。

- 1. まっすぐ立つ … 足は腰の幅くらいに開き、背すじを伸ばします。手は腰に当てても、胸の前で組んでも構いません。
- 2. 片足を後ろへ大きく引く … 引いた足のつま先は正面に向けたまま、大きめに引きます。歩幅が狭いと窮屈な姿勢になります。
- 3. ひざをゆっくり下ろす … 前のひざが90度くらいになるところまで、後ろのひざは床すれすれまで下ろします。勢いをつけないでください。
- 4. 一番下で2秒止める … これは僕のやり方です(理由はこのすぐあとに書きます)。
- 5. 前の足で床を押して元に戻る … 後ろ足で蹴らず、前の足で床を押して立ち上がります。
- 6. 反対の足も同じように … 左右を交互に繰り返します。左右合わせて数えるか片足ずつ数えるかを決めておくと、回数がぶれません。
最初はイスの背もたれや壁に手を添えてください。片足で体を支える動きなので、慣れないうちはふらつきます。転ばないことが最優先です。
「2秒止める」は、効果ではなく僕の自分ルールです
4番目に書いた「2秒止める」について、正直に補足します。
Schoenfeldらが2015年に発表した8本の研究をまとめた分析によると、1回あたり0.5秒から8秒の範囲では、筋肉の育ち方に差は見られませんでした。「2秒止めると効果が上がる」とは言えません。
それでも僕が止めているのは、反動を使わないためです。止まろうとすると、勢いで下ろして勢いで戻る雑な動きができなくなります。効果を上げる技ではなく、フォームを守るための自分ルールです。
続けるための3つのポイント
やり方より、ここのほうが大事かもしれません。3つだけ挙げます。
ポイント1:息を止めない
これは、3つの中で唯一、公的な根拠があるポイントです。
健康長寿ネットは、レジスタンス運動(いわゆる筋トレ)について「運動を行うときには息を止めず、息を吐きながら行います。息を止めると身体に過剰な力が入り、血圧が上がりやすくなります」と説明しています。
きつい動きになると、人は自然と息を止めます。僕は、足を後ろに引きながら息を吸って、戻りながら吐いています。吸う・吐くのタイミング自体に公的な資料は見つけられなかったので、「息を止めないための僕なりの工夫」として読んでください。
ポイント2:上体はまっすぐのまま
理由は、腰を丸めないためと、バランスを崩さないためです。
前に倒れこむような姿勢になると、体を支えにくくなり、ふらつきます。頭の上から糸で引っ張られているイメージで、体の軸を立てたまま真下に下ろしてください。
ただし、「上体をまっすぐにすればひざの負担が減る」とは書けません。ランジを調べた研究(Gouletteら 2021)では、むしろ体幹が起きているフロントランジのほうが、ひざのお皿の裏にかかる負荷の立ち上がりが大きかったと報告されています。まっすぐにする理由は、腰とバランスのためです。
ポイント3:痛みが出たらすぐやめる
「効いている感じ」と「痛み」は別物です。
ひざや腰に痛みが出たら、その日はそこで終わりにしてください。次の日も痛みが残るようなら、医師や理学療法士に相談してください。僕がケガで筋トレをやめた経験から、これだけは強くお伝えしたいです。
こんな方は無理をしないでください(安全のために)
バックランジは、片足で体重を支えて、ひざを深く曲げる動きです。誰にでもすすめられる運動ではありません。ここは、いちばん飛ばしてほしくない章です。次にあてはまる方は、始める前に医師や理学療法士に相談してください。
- ひざや腰に痛みがある方、過去にひざ・腰を痛めたことがある方
- 変形性膝関節症と診断されている方
- 血圧が高い方、心臓の病気で治療を受けている方
- 妊娠中の方、めまい・ふらつきがある方
日本整形外科学会は、変形性膝関節症の保存療法として大腿四頭筋(太ももの前側の筋肉)を鍛える訓練を挙げています。ひざの筋肉を鍛えること自体は治療でも行われます。ただし予防としては「正座をさける」、つまり深くひざを曲げる動作を避けることも案内されています。ひざに痛みがある方は自己判断せず、整形外科や理学療法士に相談してください。
血圧が高い方は、先に書いた「息を止めない」をとくに守ってください。
そして、回数より頻度です。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、成人・高齢者に筋力トレーニングを週2〜3日行うことを勧めています。長くやりすぎると逆効果になる可能性も、同じ資料で指摘されています。
僕が調べた範囲では、バックランジを紹介している記事の多くは、この「やらないほうがいい人」に触れていませんでした。効果よりも先に、ここを知っておいてほしいと思っています。
よくある疑問に答えます
バックランジをすれば痩せますか?
バックランジだけで痩せるとは言えません。運動としての強さは3.5〜5メッツで、ゆっくりしたジョギング(6〜7.5メッツ)の半分から7割ほどです。体重を減らす土台は食事で、その進め方は「カロリー管理の始め方」にまとめています。
ただし、減量中に筋肉が減るのを抑える助けになるという報告があります(Weinheimerら 2010)。「痩せるための運動」ではなく「痩せる過程で失うものを減らす運動」です。
バックランジで基礎代謝は上がりますか?
上がりますが、大きくはありません。筋肉1kgが安静時に使うのは1日およそ13kcalです。9か月間の筋トレで安静時の代謝が1日あたり平均73kcal増えたという報告がありますが、同じ研究で個人差が非常に大きいことも報告されています。
バックランジは何回やればいいですか?
回数の正解を示した公的な基準は見つかりませんでした。厚生労働省のガイドが示しているのは回数ではなく頻度で、「週2〜3日の筋力トレーニング」です。
僕は20回×3セットですが、これは今の自分の体に合わせた回数で、おすすめの数字ではありません。初めての方は、左右合わせて10回を2セットくらいから始めて、翌日の体の反応を見るのが安全だと思います。回数を増やすより、フォームを保てる範囲でやめることのほうが大事です。
バックランジは毎日やっていいですか?
公的なガイドの推奨は週2〜3日です。まずはそこから始めてください。厚生労働省の資料では、筋トレの時間が長くなりすぎると逆効果になる可能性も指摘されています。
僕自身は毎日20回×3セットを続けていますが、これは自分の体調と生活に合わせた個人的なやり方で、おすすめしているわけではありません。むしろ、僕は一度ケガで筋トレをやめた人間です。同じ道を通ってほしくないので、ここははっきり書いておきます。週2〜3日で十分です。
バックランジとフロントランジ、ひざにやさしいのはどっちですか?
症状のない人を対象にした研究では、ひざのお皿の裏(膝蓋大腿関節)にかかる負担は、前に踏み出すフロントランジより、後ろに引くバックランジのほうが小さかったと報告されています(Gouletteら 2021、女性20名)。別のチームの研究(Parkら 2021、男性15名)でも、ひざの曲がる角度や床から受ける力はフロントランジのほうが大きいとされています。
ただし、これらの研究の対象はひざに症状のない方たちです。ひざに痛みのある方で確かめた研究はまだありません。「バックランジならひざにやさしい」と言い切ることはできませんので、痛みがある方は医師や理学療法士に相談してください。
40代の筋トレは、下半身から始めていいですか?
加齢による筋肉量の減少は40代の終わり頃から目立ちはじめ、その減少は主に下半身で起きると報告されています(Janssenら 2000)。下半身から始めるのは、理にかなった選択肢のひとつだと思います。もちろん上半身を鍛えてはいけないという話ではなく、時間が限られていてどこか1つを選ぶなら下半身、という考え方です。
まとめ:数字は小さい。それでも僕が続ける理由
この記事でお伝えしたことを整理します。
- 筋トレで基礎代謝は上がるが、その大きさは小さい。筋肉1kgで1日およそ13kcal、9か月の筋トレでも平均73kcal(個人差はその倍以上)
- 40代がやる理由は3つ。減量中に筋肉が減るのを抑える助けになる、加齢で減る筋肉は主に下半身、家でできて続けやすい
- やり方は、後ろに引く・下ろす・戻るの6ステップ。息を止めない、上体はまっすぐ、痛みが出たらやめる
- 頻度は週2〜3日から。ひざや腰に不安のある方は、始める前に相談を
「基礎代謝を上げて痩せる」という言葉に期待していた方には、期待外れだったかもしれません。でも僕は、数字が小さいと知ってからのほうが続けるのがラクになりました。「これは守るための運動だ」と思えるからです。
今日できることは、後ろに片足を引いて、腰を下ろして、戻ることだけです。まずは左右合わせて10回、1セットだけ試してみてください。イスの背もたれに手を添えて構いません。
なお、体の状態や感じ方には個人差があります。ひざや腰、血圧に不安のある方、持病のある方は、始める前に必ず医師や専門家にご相談ください。
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。同じ40代として、今日1回ぶんを一緒に積み上げていけたらうれしいです。
※この記事は、運営者個人の体験と一般的に知られている情報をもとにまとめたものです。効果や感じ方には個人差があり、特定の効果を保証するものではありません。持病のある方・体調に不安のある方は、実践の前に医師などの専門家にご相談ください。詳しくは免責事項をご覧ください。
続けている途中で体重が増えたときは、「体重が増えたのは筋肉か水か」を先に確かめてください。
参考にした情報
日本語で読めるもの
英語の論文・データベース
- 2024 Adult Compendium of Physical Activities(運動強度のメッツ一覧)
- 組織別の代謝率(Wang Z ら, Am J Clin Nutr 2010)
- 組織別の代謝率の再現(Wang Z ら, Obesity 2012)
- 9か月の筋トレと安静時代謝の変化(Aristizabal JC ら, Eur J Clin Nutr 2015)
- 24週間の筋トレと安静時代謝(Lemmer JT ら, Med Sci Sports Exerc 2001)
- 減量中の除脂肪量と運動の関係(Weinheimer EM ら, Nutrition Reviews 2010)
- 加齢による骨格筋量の変化(Janssen I ら, J Appl Physiol 2000)
- フロントランジとバックランジの膝への負荷(Goulette D ら, Phys Ther Sport 2021)
- ランジ動作の比較(Park S ら, Phys Ther Rehabil Sci 2021)
- 動作の速さと筋肥大(Schoenfeld BJ ら, Sports Med 2015)








