
毎朝、体重計に乗るたびに、増えた・減ったで気持ちが上下していませんか。水分補給も食事も頑張っているのに、翌朝の数字が1kg以上増えていると、もうやめたくなりますよね。
体重を減らしたい人ほど、1回ごとの数字は気にしなくていい。僕はそう考えています。
先に結論を書きます。
- 1日や数日で動く体重の大部分は、水分と食べた物の重さと考えられる(脂肪がゼロとは言い切れない)
- だから判断は、1回1回の数字ではなく、グラフの傾きでする
- 「水で代謝が上がる」という説の根拠は弱い。水は痩せ薬ではない
- ふだんの水は、のどが渇く前に少しずつ。飲みすぎにも注意する
僕の体重は、2026年10月4日(日)の朝が67.2kg、翌10月5日(月)の朝が68.9kgでした。1日で1.7kg増えています。
それでも僕は、この数字をそこまで気にしていません。次の日曜、10月11日の朝は、67.1kgでした。気にしない理由が、この記事に書くことのすべてです。
書いているのは、健康や運動の資格を持たない一般の47歳、りきanelaです。
僕は43歳で当時の最高体重66.8kgになり、そこから1年5か月で約12kg減らして54.9kgになりました。そのあと体重が戻り、2026年8月には過去最高の71.3kgになりました。
いまは67.1kgです。ブログを始めた7月(66.9kg)と、ほぼ同じ所にいます。正直に書くと、いまがスタート地点です。
体重は、朝と夜の2回測って記録しています。
読み終えるころには、朝の数字が増えていても、慌てずにグラフを開けるようになります。水をどれくらい、どう飲めばいいかの目安も分かります。
読む人の状況によって、先に読む章が変わります。
- 朝の数字で気持ちが折れそうな人向け:「僕の体重計の読み方」の章へ。数字の上下に振り回されにくくなります
- 水を飲めば痩せると聞いた人向け:「水で痩せる?」と「『水で代謝が上がる』僕は今も信じている」の章へ。期待しすぎずに済みます
- 水の量や飲み方を知りたい人向け:「僕の水の飲み方」の章へ。今日から足せる1杯が分かります
1日で増えた体重の正体:大部分は水分と食べた物の重さ
1日や数日で動く体重の大部分は、水分と食べた物の重さと考えられます。脂肪がゼロとは言い切れませんが、1回の数字で「太った」と決める必要はありません。
ただし、体重が何日も増え続けるときや、むくみ・息切れなど体調の変化があるときは、数字の上下と決めつけず、医師に相談してください。
理由は、体の中の水が、食べた物の中身によって増えたり減ったりするからです。食べた物と飲んだ物も、体の外に出るまでは、そのまま体重計に乗ります。
体にためた糖(グリコーゲン)は、水といっしょに動く
体は、ごはんやパンなどからとった糖を、グリコーゲン(肝臓や筋肉にためておく糖)という形でためています。
運動と栄養の研究のまとめ(Murray・Rosenbloom、2018年)によると、ためている量の目安は次のとおりです。
- 筋肉:平均約500g
- 肝臓:平均約80g
- 体全体:約600g
同じまとめには、グリコーゲン1gごとに、少なくとも約3gの水がいっしょにためられる、とあります。3gで計算すると水は約1,800g、糖と合わせて約2.4kgです。

この約2.4kgは、ためている糖を全部使い切ったと仮定した、理論上の最大の目安です。
実際には、全部は使い切れません。同じまとめでは、激しく長い運動をしても、使っている筋肉の糖は最初の量の約1割より下がらない、とされています。
それでも、糖の出入りに合わせて、体重が水ごと動くことは分かります。糖質の多い食事のあとは、水もいっしょにためられて、数字が増えることがあります。
減るときも同じです。肥満のある6人が、10日間ずつ食事を変えた1976年の研究(Yang・Van Itallie)があります。1日800kcalのケトン食(糖質をごく少なくした食事)では、減った体重のうち約61%が水分でした。同じ800kcalでも、普通の栄養バランスの食事では約37%でした。
塩分の多い食事のあとは、体に水がたまりやすい
塩分の多い食事のあとは、体が水をためこみやすくなります。
国立循環器病研究センターによると、食塩を多くとると、体はナトリウムの濃さを薄めようとして、水を外に出しにくくなります。その結果、体の中に水がたまり、むくみの原因の1つになる、とされています。
健康長寿ネットも、ナトリウムをとりすぎると体の水分や血液の量が増え、むくみが出ることがあるとしています。
体にたまった水も、体重計の上では重さです。塩辛い物を食べた翌朝に数字が増えるときは、これが関わっていることがあります。
僕の月曜の朝は、40週のうち34週で増えていた
僕の体重は、月曜の朝に増えていることが多いです。日曜は僕の唯一の休みの日で、昼も夜も普通に食べています。月曜に増えるのはそのためだろう、と僕は考えています。
僕の感覚を、僕の言葉のまま書きます。
「月曜日の朝はいつも体重が増えていたので、そこまで気にしていませんでした」
「次の日には戻ってました」
記録も数えてみました。2026年に入ってから、日曜と月曜の朝の記録がそろっている40週です。
- 月曜の朝に増えていた週:40週のうち34週
- 日曜の朝から月曜の朝への変化の真ん中の値:約0.7kg増(半分の週は0.4〜1.1kg増の間)
増えた34週について、日曜の朝の値か、それより下に戻るまでの日数も数えました。
- 翌日(火曜)に戻った週:12週(いちばん多い)
- 2日後に戻った週:7週
- 4〜6日後に戻った週:5週
- 6日のうちに戻らなかった週:10週
「真ん中の値」は、小さい順に並べたときに、ちょうど真ん中に来る値です。極端な週に引っぱられにくいので、ここではこの値を使っています。
記録でも、増えた週が大半でした。ただ、戻るまでの日数はばらばらです。翌日に戻る週がいちばん多い一方で、数日かかる週や、6日たっても戻らない週もありました。10月5日の+1.7kgも、この記録の中では大きく増えたほうです。
減量していた2022〜2023年も、日曜の昼に好きな物を食べる1食(チートデイ)を入れていました。そのころの記録でも、翌朝の月曜は真ん中の値で約0.7kg増えています。それでも、日曜の朝から次の日曜の朝で比べると、真ん中の値で0.2kg下がっていました。
減量中のチートデイの入れ方と、翌朝の体重を78週分見直した結果は、週1回のチートデイと翌朝の体重の話にまとめています。
増えた分のうち、どれだけが水分で、どれだけが食べた物や脂肪だったのかは、僕は測っていません。だから「全部水分」とは言い切れません。
それでも、1回の数字だけで落ち込む必要はない、と僕は考えています。次の章では、僕が実際に何を見ているかを書きます。
僕の体重計の読み方:1回1回の数字でなく、グラフの傾き
僕は体重を、1回ごとの数字ではなく、グラフの傾きで判断しています。
理由は、ここまで見たとおり、1回ごとの数字が水分や食べた物で上下するからです。上下をならして線にすると、向きだけが残ります。
朝と夜の2回測って、iPhoneのヘルスケアに記録している
僕が測るのは、1日2回です。
- 朝:起きてトイレに行ったあと
- 夜:会社から帰って、お風呂に入る前
どちらも、iPhoneのヘルスケア(体重などを記録できるiPhoneのアプリ)に入れています。
僕の場合、夜のほうが朝より1kg前後軽く出ます。2026年の記録では、朝と夜がそろった142日のうち137日で夜のほうが軽く、差の真ん中の値は0.8kgでした。
体重計メーカーのタニタは、1日の中でいちばん低い体重が出やすいのは、朝起きて排泄を済ませたタイミングと考えられる、としています。僕の記録は、その逆でした。理由は分かりません。自分がどちらに出るかは、まず自分の記録で確かめてください。
測る時刻のそろえ方や、毎日測るか週1回にするかは、朝と夜の体重の測り方と判断の目安にまとめています。
「月」「6か月」「年」で、見え方が変わる
ヘルスケアでは、体重のグラフを「月」「6か月」「年」に切り替えて見ています。2026年10月11日に、僕の画面に出ていた表示は次のとおりです(期間はアプリの表示のまま)。
- 月(9月11日〜10月11日):平均67.92kg。毎日67〜69kgのあたりで上下している。アプリのトレンド(傾向)の判定は「なし」
- 6か月(4月19日〜10月17日):平均67.02kg。点は1週間ごとの平均。8月中旬が山。判定は「14週間で上向き」
- 年(2025年11月〜2026年11月):平均65.84kg。8月が山で、そこから下を向いている
ヘルスケアの点は朝と夜の記録をまとめた値なので、この記事のほかの数字(朝の値)とは少し違います。この記事では、数字を朝の値で比べています。ヘルスケアのグラフで僕が見ているのは、線の向きです。
傾きがいちばん分かりやすいのは「年」です。「月」の表示では、毎日の上下が目立ちます。
「6か月」の表示は、僕の画面では1週間ごとの平均で点が打たれます。7日分の平均を自分で計算しなくても、週の平均の流れがそのまま見えます。
iPhone以外のアプリを使っている人は、グラフの表示期間を長めにできるかを探してみてください。
アプリの判定が「上向き」でも、僕が気にしない理由
6か月の表示で、アプリは「14週間で上向き」と判定しています。それでも、僕は気にしていません。僕の言葉のまま書きます。
「トレンドは上向きと書いてありますが、明らかにグラフは右肩下がりなので、気にしていません」
どこから見るかで、傾きは変わります。朝の値で比べると、次のとおりです。
- 2026年7月1日(ブログを始めた日)66.9kg → 10月11日 67.1kg:ほぼ同じ
- 2026年8月21日(過去最高)71.3kg → 10月11日 67.1kg:約4kg下がった
7月から見ればほぼ横ばいで、8月の山から見れば右肩下がりです。どちらも事実です。大事なのは、1回の数字ではなく、線がどちらを向いているかを自分の目で見ることです。
僕の考えは、この2つの言葉に尽きます。
「1回1回の数字でなく、グラフの傾きで判断しよう!」
「体重計の数値をグラフ化していこう!」
トレーニングを始めたばかりの時期の増え方は、筋トレを始めて体重が増えたときの考え方に書いています。
僕の水の飲み方:水分補給は1日約2リットル
僕はいま、1日に約2リットルの水分をとっています。ただ、ずっとそうだったわけではありません。
減量していた2022〜2023年は、水分のことはあまり気にしていませんでした。意識するようになったのは、痩せたあとの2024年からです。
飲んでいるのは、白湯・コーヒー・還元水素水・ルイボスティー
約2リットルの中身は、次のとおりです。
- 白湯(重曹を入れている)
- ブラックコーヒー(1日2杯)
- 還元水素水
- ルイボスティー
- 筋トレ中:EAA(必須アミノ酸)を溶かした水500ml
還元水素水を飲んでいるのは、会社に浄水器が付いたからです。重曹を入れた白湯と還元水素水は、痩せたあとに始めました。効果を確かめたわけではないので、この記事では僕の習慣として書くだけにします。
重曹を入れるときの注意は、後の「飲みすぎにも注意」の章に書きました。
コーヒーは、僕も1日2杯飲んでいます。国土交通省は、アルコールや多量のカフェインを含む飲み物は尿の量を増やすので、水分補給には向かないとしています。コーヒーが悪いという話ではありません。水分補給のつもりで飲む分は、水などにしておくと安心です。
僕の1日の飲み方と、研究で使われた量
僕の1日の飲み方を、分かっている場面で並べます。
- 朝、仕事の前の筋トレ中(日曜以外の週6日):EAAを溶かした水500ml
- 会社:浄水器の還元水素水
- 夕食:用意する前に、コップ1杯の水
- ほかに:重曹を入れた白湯、ブラックコーヒー2杯、ルイボスティー

朝の筋トレは、職場のジムで30分です。組み立ては、朝30分の筋トレにHIITを挟むやり方に書いています。
研究で使われた量や、公的な目安も並べておきます。僕の量は、あくまで僕の場合です。
- 食事の前の水:1回500ml(次の章で紹介する減量の研究で使われた量)
- 運動の前:ドイツ栄養学会の見解では、運動の2〜4時間前に、体重1kgあたり5〜10ml(体重70kgなら約350〜700ml)
運動の前の量は、スポーツをする人に向けた見解の中の数字です。1日に何度も練習するなど、水分が戻りきらないまま運動を始めやすい場面の話として書かれています。
1日の量については、日本には水の摂取量の基準値がありません。健康長寿ネットには、日本人の水の摂取量やとり方について、信頼度の高い研究は極めて乏しい、とも書かれています。
そのうえで同じページは、水分補給として1日1.5リットルという目安を紹介しています。これは欧州の論文をもとにした目安で、欧米では水を飲み物から70〜80%とっている、という前提つきです。
いきなり量を決めなくても大丈夫です。国土交通省の「健康のため水を飲もう」推進運動のページには、こうあります。
「平均的には、コップの水をあと2杯飲めば、一日に必要な水の量を概ね確保できます」
まずは、今よりコップ2杯を足すところから始められます。
部活で「水を飲むな」と言われた世代として
僕は中学・高校の部活で、夏でも水を飲むと怒られて、飲めませんでした。
僕の言葉のまま書くと、「精神的に鍛えられてるのかも」。そして、「僕ら世代は同じ経験をした人がいっぱいいると思う」。
ただ、これは真似しないでください。今の考え方は違います。
国土交通省の推進運動は、目標の1つに、運動中は水を飲んではいけない、といった誤った常識をなくすことを挙げています。運動中は水を飲んでいい、というのが今の考え方です。運動中の飲み方は、後の「飲みすぎにも注意」の章に書きました。
水で痩せる?研究で分かっていること
水そのものに脂肪を減らす働きがあるとは、確かめられていません。研究で見えているのは、「食事の前に飲む」「甘い飲み物を水に替える」という、まわり道の効き方です。それも、効果は控えめです。
先にお断りします。ここで紹介する研究の対象は、主に肥満のある人や、55〜75歳の人などです。40代以上で運動の習慣がない人だけを調べたものではありません。数字がそのまま自分に当てはまるとは限りません。
食事の前に水を飲む:研究は500ml、僕はコップ1杯
食事の前に水を飲む方法には、くじ引きで群を分けて比べた減量の研究があります。
イギリスの試験(Parrettiら、2015年)では、肥満のある大人84人を2つの群に分けました。
- 水の群:毎食の30分前に、水を500ml飲む
- 比べた群:食事の前に「お腹がいっぱいだと想像する」
12週間後、水の群のほうが1.3kg多く減りました(95%信頼区間 −2.4〜−0.1、P=0.028。偶然とは考えにくい差です)。体重が5%以上減った人は、水の群で27%、比べた群で5%でした。
弱いところもあります。年齢や性別などをそろえて計算し直すと、差は−1.2kgに縮み、統計の上では確かとは言い切れない線になりました(P=0.063)。研究者自身も、「予備的な証拠」と控えめに書いています。
55〜75歳の48人を12週間比べた試験(Dennisら、2010年)もあります。カロリーを抑えた食事に、毎食前の水500mlを足した群のほうが、約2kg多く減りました。
僕は、夕食を用意する前にコップ1杯の水を飲んでいます。ただ、毎日同じ物を食べているので、食べる量が減ったかどうかは分かりません。
試すなら、まず1食の前に1杯からで十分です。医師から水分の量を制限されている人は、試す前に主治医に相談してください。
甘い飲み物を水に替える:効くのはカロリーの引き算
甘い飲み物を水に替えると、その飲み物の分のカロリーが減ります。効くのは「代謝」ではなく、単純な引き算です。
ただ、研究の結果は思ったほど大きくありません。
- CHOICE試験(Tateら、2012年):318人を6か月追った。甘い飲み物を水に替えた群は体重が2.03%減ったが、ほかの群との差ははっきりしなかった。数値の上では、ダイエット飲料の群のほうがわずかに多く減っていた
- 同じ試験で、水の群は空腹時血糖(食事の前の血糖値)がよくなっていた
- Madjdら(2015年):18〜50歳の女性89人で、ダイエット飲料を水に替えた群が8.8kg、比べた群が7.6kg減った
Madjdらの研究は、砂糖入りの飲み物ではなく、カロリーゼロのダイエット飲料を水に替えた研究です。対象も女性だけです。
僕も、カフェオレなどを水に替えました。甘い飲み物を毎日飲んでいる人なら、まず1本を水にするのが、いちばん手軽な一歩です。
小腹が空いたら水を1杯:僕には効果がよく分からなかった
「空腹と、のどの渇きは間違えやすい」という話を、よく見かけます。ただ、これを裏付ける確かな研究は、調べた範囲では見つかりませんでした。
僕も、小腹が空いたときに水を1杯飲むのを試しました。効果は、よく分かりませんでした。
お金も手間もかからないので、試すかどうかは自分で決めて大丈夫です。収まらなければ、普通に食べればいいだけです。
「水で代謝が上がる」僕は今も信じている。でも根拠は弱い
正直に書きます。僕は、水を飲むと代謝(体がエネルギーを使う働き)が上がると、今も信じて飲んでいます。知ったのはYouTubeなどで、体感は特にありません。
この記事のために調べてみると、根拠は弱いものでした。
- Boschmannら(2003年):健康な14人で、水500mlを飲むと代謝が約30%上がったと報告
- Brownら(2006年):室温の水(約500ml)では、使うエネルギーは増えなかった。3℃の冷たい水では60分で4.5%増えたが、小さな増え方だった
- Charrièreら(2015年):27人で、水500mlと「飲むふり」を比べた。増え方は3%未満で、飲むふりと差がなかった
上がったという報告はあります。ただ、その後の試験では同じ結果が出ておらず、根拠は弱いと考えられます。
健康長寿ネットの「水は1日どれくらい飲めば良いか」のページにも、常温の水を飲むと体の中から温まり、代謝が上がる、という説明があります。ただ、そのページに根拠となる研究は示されていません。
同じように信じてきた人も、自分を責める必要はありません。水を飲む習慣そのものが悪いわけではないからです。
ただ、「水を飲めば痩せる」と期待しすぎないほうが、翌朝の数字にがっかりせずに済みます。
脱水は、運動の足を引っぱる
体重の2%を超えるような水分不足は、運動の質を下げるとされています。痩せるために飲むのではなく、体を動かした分を無駄にしないために飲む、と考えると分かりやすいです。
アメリカスポーツ医学会の指針(Sawkaら、2007年)は、運動中に飲む目的を次のように書いています。体重の2%を超える水分不足を防ぎ、運動のパフォーマンスの低下を避けることです。体重70kgの人なら、2%は1.4kgです。
ドイツ栄養学会の見解(2020年)では、体重の2〜4%を超える水分が失われると、筋力と持久力が落ちるとされています。
頭の働きにも影響します。33の研究をまとめた分析(Wittbrodt・Millard-Stafford、2018年)では、脱水で、注意・実行機能(段取りや判断)・運動の協調(体の動きを合わせること)が落ちていました。体重の2%を超えると、影響が大きくなっていました。
年齢の話もしておきます。健康長寿ネットは、高齢になると、のどの渇きを感じにくくなる、筋肉などにためておける水が減る、軽い脱水では症状が出にくい、と説明しています。
これは高齢の人についての説明です。40代から同じことが起きる、とまでは書かれていません。
僕自身は、水が足りなくてバテた経験はありません。朝の筋トレ中は、EAAを溶かした水を500ml飲んでいます。
飲みすぎにも注意:血液の塩分・トイレ・重曹
水は、多ければ多いほどいいものではありません。短い時間に大量に飲むこと、トイレの困りごと、重曹のナトリウムの3つに気をつけます。
短い時間に大量に飲むと、血液の塩分が薄まることがある
短い時間に大量の水を飲むと、血液の中のナトリウム(塩分)が薄まりすぎることがあります。これを低ナトリウム血症(血液の塩分の濃さが下がりすぎた状態)と言います。
2002年のボストンマラソンで、走り終えた488人の血液を調べた研究(Almondら、2005年)があります。
- 13%の人が、血液のナトリウムの濃さが135mmol/L以下だった
- この状態は、レース中に体重が増えていたこと、3リットルを超えて飲んでいたことなどと関係していた
これはマラソンを走った人の調査です。ふだんの生活で普通に水を飲む場面とは、条件が大きく違います。
日常は渇く前に少しずつ、運動中は渇きを目安に
飲み方のすすめは、場面によって違います。
- 日常:のどが渇く前に、少しずつ飲む(国土交通省)
- 運動中:短い時間にたくさん飲まない。自分の渇きを目安にする(ドイツ栄養学会)
ドイツ栄養学会は、以前は原則とされていた「渇く前に飲め」とは逆に、運動中は自分の渇きを信じて飲むようすすめています。低ナトリウム血症を防ぐためです。運動中は体重の2〜4%までの水分の減りなら耐えられるので、全部を補う必要はない、とも書いています。
目安になるのは、尿の色です。同じ見解では、水分が足りているときの尿は薄い黄色で、濃い尿と口の渇きは脱水のサインとされています。
2リットル飲むとトイレが近い:僕は現場の前に1回行く
僕の困りごとは、2リットル飲むとトイレが近くなることです。
そこで、現場に出るときは、行きたくなくても直前に1回トイレに行くようにしています。
トイレを気にして飲むのを我慢してしまうことは、健康長寿ネットも、高齢の人が脱水になりやすい理由の1つに挙げています。
重曹の白湯を飲むなら、ナトリウムに注意
重曹(炭酸水素ナトリウム)は、名前のとおりナトリウムを含みます。化学式から計算すると、重曹1gにナトリウムが約0.27g、食塩にすると約0.7gです。
薬としての重曹の添付文書では、ナトリウムをとる量を制限する必要がある人(むくみがある人など)には使わないこととされています。ナトリウムが体にたまり、症状が悪くなるおそれがあるためです。
先に書いたとおり、塩分が多いと体に水がたまり、むくみの原因になります。
腎臓や心臓の持病がある人、医師から塩分や水分の制限を受けている人は、重曹を飲む前にも、水の量を増やす前にも、主治医に相談してください。国土交通省も、病気の治療中で医師から水分の指示がある人は、それに従うよう書いています。
まとめ:1回1回の数字でなく、グラフの傾きで判断しよう
- 1日や数日で動く体重の大部分は、水分と食べた物の重さと考えられる(脂肪がゼロとは言い切れない)
- 僕は10月5日の朝、1日で1.7kg増えた。10月11日の朝は67.1kgだった
- 判断は、1回の数字ではなくグラフの傾きでする。どこから見るかで、傾きの向きは変わる
- 「水で代謝が上がる」の根拠は弱い。食事の前の水や、甘い飲み物の置き換えは、控えめな効果の研究がある
- ふだんの水は、のどが渇く前に少しずつ。飲みすぎと、重曹のナトリウムにも注意する
今日の一歩は1つで足ります。体重を記録しているアプリで、体重をグラフで開いてください。iPhoneならヘルスケアで体重を開き、「6か月」に切り替えます。1回の数字ではなく、線がどちらを向いているかだけを見てください。
まだ記録していない人は、今朝の数字を1つ、アプリに入れるところからです。点が増えるほど、線ははっきりしてきます。
水の次に見直すなら、食事の量と中身です。1日に食べる量の決め方はカロリー管理を始める4つの手順に、たんぱく質・脂質・炭水化物の量はPFCをグラムで決める手順にまとめています。
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。僕もいまがスタート地点です。月曜の朝に数字が増えていても、グラフの傾きを見ながら続けています。同じように体と向き合う一人として、一緒に続けていけたらうれしいです。
よくある質問
Q. 1日で体重が1kg以上増えました。脂肪がついたのでしょうか?
1日で増えた分の大部分は、水分と食べた物の重さと考えられます。糖をためるときに水もいっしょにためられること、塩分の多い食事で体に水がたまりやすいことが関わっています。脂肪がゼロとは言い切れませんが、1回の数字で決めず、数週間のグラフの傾きで見てください。増え方が何日も続くときや、むくみ・息切れなど体調の変化があるときは、医師に相談してください。
Q. 水を飲むと、代謝が上がって痩せますか?
水で代謝が上がって痩せる、という根拠は弱いと考えられます。上がったという報告もありますが、その後の試験では同じ結果が出ていません。僕は今も信じて飲んでいますが、体感は特にありません。減量の研究で見えているのは、食事の前に飲む、甘い飲み物を水に替える、といった控えめな効果です。
Q. 1日に何リットル飲めばいいですか?
何リットルと決まった量はありません。日本には、水の摂取量の基準値がないためです。健康長寿ネットでは、欧州の論文をもとにした1日1.5リットルという目安が紹介されています。国土交通省は、平均的には今よりコップ2杯を足せば、1日に必要な量はおおむね足りるとしています。僕は約2リットルですが、必要な量には個人差があります。腎臓や心臓の持病がある人、水分の制限を受けている人は、主治医の指示に従ってください。
Q. アプリの判定が「上向き」と出て、不安になります。
傾きは、どこから見るかで変わります。僕の6か月の表示は「14週間で上向き」ですが、8月の山からは約4kg下がっています。表示を「月」「6か月」「年」と切り替えて、線の向きを自分の目で見てください。数字を見るのがつらい状態が続くときや、体重の数字のせいで食事の量が極端になっているときは、医師や管理栄養士などの専門家に相談してください。
※この記事は、運営者個人の体験と一般的に知られている情報をもとにまとめたものです。効果や感じ方には個人差があり、特定の効果を保証するものではありません。腎臓や心臓に不安のある方、医師から水分制限を受けている方、持病のある方・体調に不安のある方は、実践の前に医師などの専門家にご相談ください。詳しくは免責事項をご覧ください。
参考にした情報
日本語で読めるもの
- 「健康のため水を飲もう」推進運動(国土交通省)
- 水は1日どれくらい飲めば良いか(健康長寿ネット)
- 脱水症(健康長寿ネット)
- ナトリウムの働きと1日の摂取量(健康長寿ネット)
- 食事療法について(国立循環器病研究センター)
- 【1日の体重変化】朝と夜で体重や体脂肪率、筋肉量が変動するのはなぜ?(タニタマガジン)
- 炭酸水素ナトリウム「コザカイ・M」の添付文書(医薬品医療機器総合機構)
英語の論文・学会の見解
- 食前500mlの水と減量の無作為化比較試験(Parretti HM, et al. Obesity. 2015)
- 低カロリー食に水を加えた中高年の減量(Dennis EA, et al. Obesity. 2010)
- 糖入り飲料を水やダイエット飲料に置き換えた比較(CHOICE試験・Tate DF, et al. Am J Clin Nutr. 2012)
- ダイエット飲料を水に置き換えた減量試験(Madjd A, et al. Am J Clin Nutr. 2015)
- 水を飲んだあとの代謝の変化(Boschmann M, et al. J Clin Endocrinol Metab. 2003)
- 水の温度と消費エネルギー(Brown CM, et al. J Clin Endocrinol Metab. 2006)
- 水と「飲むふり」の比較試験(Charrière N, et al. Nutr Diabetes. 2015)
- 運動と水分補給についての指針(アメリカスポーツ医学会・Sawka MN, et al. 2007)
- スポーツにおける水分補給の見解(ドイツ栄養学会スポーツ栄養部会・Mosler S, et al. 2020)
- 脱水と認知機能のメタ解析(Wittbrodt MT, Millard-Stafford M. 2018)
- グリコーゲン代謝の基礎(Murray B, Rosenbloom C. Nutr Rev. 2018)
- 短期の減量で減った体重の内訳(Yang MU, Van Itallie TB. J Clin Invest. 1976)
- ボストンマラソン走者の低ナトリウム血症(Almond CSD, et al. N Engl J Med. 2005)
- 炭酸水素ナトリウムの化学式と分子量(KEGG COMPOUND C12603)






